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タイ永住権 個人で自力で取った

-個人申請から受領、そして取った後-


お知らせ(2025年1月25日)
2024年のタイ永住権受付はなし

2024年のタイ永住権申請受付の実施はなかった。
申請受付が実施されない年が発生するのは、きわめて稀。
タイ政府は2024年12月17日の閣議で、次回のタイ永住権受付要領を閣議決定していた。
この閣議決定自体は現在も有効で、決定に基づく申請受付が、2025年中のいずれかのタイミングで実施される予定。

過去のお知らせはこちら


2020年8月
最終更新 2022年10月

タイ永住権を 個人で自力申請して取得した

 私は2018年12月16日に、タイ永住権をタイの入管に個人で申請し、受理された。
 審査は順調に通過し、2020年6月18日に、無事、永住権を受領した。
 申請受理から受領まで、1年6か月だった。

 これらは、完全に個人で自力で行った。
 仲介業者は全く使わなかった。
 申請条件の委細や提出書類は、すべて自分で直接入管に確認して、自力で揃えた。
 入管に支払ったのは、公定の手数料だけだ。
 日本から取り寄せた書類のタイ語翻訳や認証取得も、自分で行った。

 申請するにあたって、特別なコネや有力者の推薦のようなものは、特になかった。
 すべて公示の応募方法に従った正攻法で申請して、無事に永住権を取得した。
 

タイ永住権を証する冊子「居住証明書」Certificate of Residence

永住権を個人申請した経験や情報を、ここにまとめた

 このサイトは、こんな私の経験と知り得た情報をまとめたものだ。
 主に2020年8月~2021年2月の間に書いた。その後も、情報の追加を続けている。
 今後タイ永住権の個人申請を検討する人の参考になるように、タイ永住権は「個人でも現実に取れるものなのだ」というのをお伝えすることと、申請から受領そして受領後の維持を含めた、タイ永住権取得の全体像イメージをしっかり掴んで頂くことを主眼に作った。
 関連する参考情報も合わせて、いろいろ詳しく記して置く。

永住権審査が「点数制」だとか、永住権発給の最終決裁は首相であること、「永住ビザ」(イミグラント・ビザ)は現在発行されていないというような、たぶん、ここにしかない情報も書いておく。
入管から申請受理後に届くいろいろなレターの現物とか、永住権を取得すると受領する「居住証明書」(Certificate of Residence)「外国人身分証明書」(Certificate of Alien)の中身、タイのIDカードなども、詳しく紹介してある。
永住権は取ったらおしまいではない。その後の維持がとても重要だ。
タイ永住権の維持タイ永住権者が得る3つの冊子とその維持タイ永住権の維持経費 に詳しくまとめた。
永住権取得にトータルでかかった費用も開示した。
タイ永住権取得にいくらかかったか?

タイ永住権を本気で検討する人を想定している

 このサイトは、タイ永住権を本気で検討する人を想定している。
 本気で検討する人にとって有益でクオリティーある情報を、ここでしか読めない情報も含めてしっかり詰め込んだつもりだ。
 タイ永住権は申請条件を満たしてきちんと準備すれば、個人でもこうして取れるのだ、ということをなによりお伝えしたい。

 書いているうちにそれなりの量になって、50以上の記事が長文であり、優に本1冊の分量がある。

 なにぶん個人で書いているので、読みにくいところがあったり、細かすぎて逆に分かりにくいきらいがあるが、お許しいただきたい。

 読み込むにもそれなりの時間を要すると思うので、さらっと一瞥するだけの人には向かない。
 簡単にまとめたサイトなら他にもたくさんあるので、タイ永住権についてちょっと一瞥できればいいのであれば、ここよりもそういうサイトを見るのがいいだろう。
(但し、間違っているものも多いようだ)

 このサイトは読み込むには時間がかかるだろうが、タイ永住権を本気で申請する人に取って資する情報を開示できたと自負している。

タイは「世界でも永住権が取りやすい国」ではない

 おかしな話だが、なぜか一部の「永住権が取りやすい国ランキング!」的なサイトでは、タイが永住権が取りやすい国の1位とか2位に挙げられていることが少なくないようだ。

 ずいぶんいい加減な話だ。

 あらかじめ誤解なきように言っておくが、タイは決して「世界でも一、二に永住権が取りやすい国」ではない。

 それを反映してだろう、日本外務省の統計では、タイの在留邦人数は在留届ベースで8万人以上と世界第4位の規模だが、そこに占める日本人永住者の割合はたったの2.3%でしかない。(2021年10月現在)
 これがアメリカならば、在留邦人に占める永住者の割合は実に50.8%。カナダなら69.3%だ。(同)
 しかも、永住権が極めて取りにくい国として知られる中国と比較しても、中国の日本人永住者の割合は3.4%(同)で、タイの2.3%を上回っている。

 つまり、タイは在留邦人数こそ世界有数の規模だが、その中に永住者はほとんどいない。
 在留邦人が多い他国と比較しても、タイの日本人永住者の割合は著しく低い。

 これが実態だ。

参 照:タイの日本人永住者は在留邦人のわずか2.3%?

 それなのに一部では「タイは世界で一番永住権が取りやすい国のひとつ!」というような言説がよくなされる。
 理由は恐らく、タイランド・エリートやロングステイ・ビザのような長期滞在系と言われるビザが比較的得やすいことから、延長を重ねれば長期滞在がしやすい、ということと永住権が、混然一体になっているためと思われる。
 「こんな長期滞在が認められるなんて、もはや永住権です!」
 というような類だ。

 だが、あまりにも当然だが、いずれにせよ「長期滞在系のビザ」では滞在期限があり延長が必要だし、得られる権利も異なる。「永住権」とはまるで別物だ。

 「ビザ延長を重ねた結果の事実上の永住」と「永住権の取得」は、話の次元がまるきり異なる。

 本サイトで取り扱うのはもちろん、そのようなどこかが少しばかり永住権っぽい「擬似的な何か」ではなくて、「本物」の永住権の方だ。

認識が二極化しがち

 タイ永住権の認識は、どうも二極化しがちだ。
 タイに住まう在留邦人ならタイ永住権取得が簡単ではないと知っている。だが、往々にして「困難すぎて手が届くものではない」と思いがちだ。
 一方で、お気楽で無責任な「海外移住!」的なものが、「タイは世界で一番永住権が取りやすい国」といった誤った言説を平気で垂れ流しているおかげで、そういう認識もまたそれなりに流布しているらしい。
 (実際、わたしもその種のお問い合わせを頂くことがある)

 これはどちらも極端すぎて、正しくないと言える。
 あやふやな情報ではなく、タイ永住権の制度や枠組みそして先人の実体験をきちんと知って理解すれば、正しい認識のもとに、今後の永住権申請を検討することが出来るというものだろう。

 それには、数少ない実体験したタイ永住権保持者自身が、知り得た情報をきちんと整理して開示することに、意味があると思う。
 本サイトを作ったのは、そのような考えからの開示の試みのひとつだ。

私のタイ永住権申請から受領までの過程

 タイ永住権は、タイに十分な居住実績がない人がいきなり申請することは出来ない。
 永住権申請資格を満たすには、まずはタイにノン・イミグラントビザで3年以上の居住実績を作ることが必要だ。
 その上で、永住権の5つの申請カテゴリー別に定められた条件を満たすと、申請できるようになる。

参 照:タイ永住権申請の基礎条件と5つのカテゴリー

 私の永住権申請はカテゴリー「人道的な理由」のうちの、サブカテゴリー「タイ国籍者の扶養者/被扶養者」(タイ人の配偶者)だった。

 タイ語面接があるので、審査を通るには一定レベル以上のタイ語会話力が必要だ。

参 照:タイ語面接

 私の申請から受領までは、次の過程をたどった。
 永住権発給の最終決裁者は、首相だ。

◆2018年8月にバンコク入管を訪問し、申請資格があることと申請書類の委細を確認。書類準備を開始。
◆同年12月初週に永住権を申請したが、書類不備を指摘され不受理。
◆同年12月16日に再申請し、正式受理。
◆2019年1月に、追加書類を郵送で提出。
◆同年2月に、地元チェンマイの入管職員が自宅訪問し、調書作成。
◆同年6月に、バンコク入管でタイ語面接。

 その後は特に何もなく、ただずっと待っているうちに、入管側の内部手続きが次のように進んだ。

 ◇2020年2月18日に、永住権発給の内務大臣決裁。
 ◇同3月5日に、永住権発給の首相決裁
 ◇2020年4月22日付で、永住権が発給決定。
 
内部で永住権発給が決定してから、入管とのやりとりが再度始まった。
◆2020年5月半ばにバンコク入管から、発給決定通知と受領申請日調整のための連絡を受ける。
◆同年6月15日にバンコク入管に出向き、永住権の受領を申請。
◆3日後の6月18日に、永住権を証する冊子「居住証明書」Certificate of Residence ใบสำคัญถิ่นที่อยู่ を受領。

 受領翌日の2020年6月19日には、チェンマイの居住地を管轄する警察署で、永住者にのみ交付される「外国人身分証明書」Certificate of Alien を申請して受領。
 続いて郡役所で、妻が筆頭者になっている「住居登録証」(タビアンバーン。トーロー14)へ私の氏名を追記した。

 このように、個人で申請してからちょうど1年半で、タイ永住権を受領することが出来た。

タイ永住権申請の努力は1回だけすればいい

タイ永住権の申請書類は多岐に渡るので、準備は大変だ。簡単には済まない。
しかし、当然と言えば当然だが、永住権申請の書類準備をしなければならないのは「生涯に1回だけ」で、準備に要する期間は「約3~4か月間だけ」だ。

ビザ延長の繰り返しでタイに住み続けるなら、どんなに高齢になろうと一生涯毎年ついて回らざるを得ないのが、入管での延長手続きだ。
タイに住む人ならよくお分かりの通り、タイのビザ延長は非常に煩雑だ。たとえタイ人と結婚していても毎年の延長から逃れることは出来ないし、無通告で繰り返される細かな書類変更だの担当者による判断の揺れなどで、右往左往させられ困憊させられる。

これが永住権申請ならば、準備さえ乗り切れば、わずか三月ばかりの努力で一生涯分のすべてを、そのたった1回で終わらせることが出来るのだ。

永住権申請なら準備は大変ではあっても、努力が要るのはこの1回だけだ。

そうして1回の努力で永住権さえ得てしまえば、タイに住まうステイタスの、生涯に渡り揺るがない安定を獲得することが出来る。
こう考えると、1回の努力で済む永住権とは見方によっては、タイにずっと長く住まいたい人にとって「これほど手っ取り早いことはない」と言える。

私は実際に永住権を取って、つくづくそう感じる。

タイの永住権情報は少ない!

 上述のように、タイの日本人永住者は、在留邦人の2.3%しかいないらしい。

 日本人永住者の少なさを反映してだろう、タイ永住権申請に関する情報は、特に日本語ではまとまったものがとても少なく、なかなか全体像が分からない。
 特に、タイ永住権を実際に取得した人が経験に裏打ちされた全体像を示したものは、ほとんどない。

 ここでは、永住権の申請準備・申請・受領、そして受領後までの、一連の過程と各種情報を詳しく記すので、タイ永住権申請の全体像を俯瞰することが、それなりに出来ると思う。

これは申請マニュアルではない

 注意して欲しいのだが、このサイトは「この通りやればあなたも出来ますよ」というような、永住権取得のマニュアルを意図するものではない。

 今後の審査が私の時と同じとは限らないし、なにより、すべてを判断するのはもっぱらタイの入管だ。
 私個人が再現性を保証することなど出来ない。

 だから基本、私個人の経験から「この時こうやったら、こうなった」「こういう情報が分かった」と整理したもので、それ以上ではない。
 なぞればあなたも同じく出来ますよ、と言うものではないことに、ご留意頂きたい。

 またそのため、マニュアルになるだけの網羅性を持たないように、いくつかのポイントはわざと外して作ってある。
 隔靴掻痒に思う人もいると思うが、最も大事なところこそ、入管の担当デスクに直接確認して欲しいからだ。

タイ永住権の申請情報は、入管から一次情報を!

 何でもそうだが、モノゴトを確認しようとするとき、情報は第三者がまとめたり加工した2次・3次情報ではなく、本来の情報元が発する「1次情報」にきちんと当たるの、基本中の基本だ。

 大事なことならなおさら、そうだろう。
 永住権を取るのは、場合によっては人生を左右する一大事のはずだ。

 タイ永住権の申請で言えば、バンコクの入管第1ディビジョンの永住権担当デスクが1次ソース。
 渡される申請要領や入管公表情報、永住権デスクがする説明や回答が、1次情報と言える。
 なので、申請には必ず直接、入管の永住権担当デスクに条件委細を確認するのが、基礎中の基礎である。

 それをしないで、ウェブで流通する第三者情報だけに乗っかるようなことをすれば、まず十中八九ケガをする。

 ここでの私の情報も然りだ。あくまで参考情報でしかない。十分に気を付けて欲しい。

タイ入管のサイトは、ここだ。
Royal Thai Police Immigration Bureau

このサイトでタイ永住権申請のイメージや勘所を掴んでもらえたら

 繰り返すが、このサイトはマニュアルではないし、マニュアルとして使ってはならない。
 最新情報はタイ入管永住権デスクに直接問い合わせて、しっかりと取得して欲しい。

 それでもきっと、1次ソースである入管から情報を自分できちんと取った上で、このサイトを補助として活用してもらうだとか、永住権申請全体の大きなイメージや、勘所を掴む、といった余地は、それなりにあると思う。

 そんな風に読んでもらえて、これからタイ永住権を申請しようとする方々に一里塚としてもらえるなら、幸いだ。

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