永住権申請正式受理で「永住権審査中」のスタンプ

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2020年9月

永住権申請正式受理で「永住権審査中」のスタンプ

「永住権審査中」のスタンプ。 右上の J –/61は、私の申請者番号。一部ぼかしてある。仏歴 2561年(2018)申請のJapaneseの○○番目、という意味だ。

永住権の申請が入管に正式受理されると、受理日に申請料7,600バーツを支払い、パスポートには上のような、「永住権審査中」Under consideration のスタンプが押される。

一見何でもないスタンプだが、いろいろ重要な要素が含まれているので、説明しておきたい。

スタンプの効力をどちらにするか、自分で選べる!

永住権申請が正式受理されれば、「永住権審査中」のスタンプが、パスポートに押印される。
そしてこの際に、今後の滞在許可の効力を、この「永住権審査中」スタンプと、「現在持っているノン・イミグラントビザ」の間で、どちらにするかを自分で選択することが出来る。

次のどちらを選ぶか、係員にはっきり伝える必要がある。

      1. 現在持っているノンイミグラント・ビザの効力を失効させ、「永住権審査中」 のスタンプの効力に移行する。
      2. 現在のノンイミグラント・ビザの効力のままに留まる。

いずれにするかで、その後にいろいろな違いが生じて来る。

「永住権審査中」スタンプに移行した場合

「永住権審査中」のスタンプは、押印日から半年の滞在が許可される。

元のノン・イミグラントビザは消滅!

このスタンプの効力に移行すると、その時点でこれまでのノン・イミグラントビザは無効となり、消滅する。
代わって、今後永住権を受領するまで半年ごとに、「永住権審査中」スタンプの延長を繰り返して行く。
「永住権審査中」スタンプの効力は、永住権に準じるので、労働許可証を所持している場合、Non-BやNon-Oビザからこちらに移行しても就労上、何の問題もない。
労働事務所に特に何か通知する必要もない。

「永住権審査中」スタンプの延長は半年ごと、バンコクだけ!

「永住権審査中」スタンプの延長は極めてたやすく、何の書類準備もなしにパスポートだけ持って入管永住権デスクに赴き、申請書を1枚書けばよいそうだ。
永住権審査の結果が出て受領が済むまで、ずっとこうして延長できる。
永住権デスクはいつも空いているので、待ち時間はほどんどない。
なので、ノン・イミグラントビザの煩雑な延長作業から解放されるのは、ひとつのメリットと言える。
ただ、半年ごとに延長が必要になるのは、結構な頻度ではある。

延長する上での注意だが、延長はタイ全土でただ1カ所、バンコクの入管第1ディビジョンの永住権デスクでしかできない。
他の入管では不可だ。

そのため、地方在住者がこのスタンプに移行した場合、半年ごとに延長のためだけに、平日バンコクに来なくてはならない。

手持ちの再入国許可も消滅!

「再入国許可」(リエントリー・パーミット)は、消滅したノン・イミグラントビザに紐づいて取得したものは、同時に無効になる。
取り直しが必要だ。
今後は再入国許可が「永住権審査中」スタンプに紐づくので、有効期間もこのスタンプの有効期限内となる。
マルチにしたとしても最大、半年有効でしかもらえない。

手持ちのノン・イミグラントビザの効力に留まる場合

「永住権審査中」スタンプの効力に移行せずに、これまでのノン・イミグラントビザの効力に、そのまま留まることも出来る。

そうしたい場合には、入管の担当者へそう言えばいい。

すると、ノン・イミグラントビザは失効せずに効力を有し続ける。
永住権を受領するまで、従来通りノン・イミグラントビザの延長を続けて行くことになる。

地方在住の永住権申請者には、半年ごとに「永住権審査中」スタンプの延長のためだけに平日バンコクへ行くのは、結構な負担だ。
そういう人にはメリットがある。

こちらを選んだ場合、パスポートにはタイ語で、อนุญาตตามสิทธิเดิม 「従前の効力のまま許可する」、という意の小さいスタンプが押される。

「永住権審査中」スタンプの下に押された、赤丸で囲んだ小さいスタンプ。小さいが重要だ。

上の赤丸が、それだ。

こうしてあれば、ノン・イミグラントビザの効力が生きている。
延長はノン・イミグラントビザの方をしていればいいので、永住権申請の受理日に押された「永住権審査中」スタンプが満了日を迎えても、特に何もする必要はない。

いずれを選ぶか、永住権申請が受理されたら、入管のスタッフに伝えよう。
特に、これまでのビザの効力に留まりたい場合には、はっきりと明確に伝えた方が良い。

私の場合には、住まいがチェンマイで、延長のためだけに半年ごとに平日バンコクに行くのは嫌なので、ノン・イミグラントビザの効力に留まる方を選んだ。

ノン・イミグラントビザの延長は従来通り地元入管

効力を留保したノン・イミグラントビザの延長は、地方在住ならバンコクに行く必要はなく、従来通り居住地を管轄の入管ですることが出来る。
バンコクの場合なら、永住権デスクではなく、これまで通りノン・イミグラントビザのデスクだ。

手持ちの再入国許可はそのまま使える

効力を留保したノン・イミグラントビザに紐づいて取得した再入国許可があるなら、それもそのまま有効だ。
切れて再度取り直す際にも、ビザに紐づくので、1年有効のものが取得できる。

留意点! 万一永住権が不合格だった時には…

どちらを選ぶかでは、単に延長の利便性の他にも、少なくとも知っておくべき点が、もう一つある。
もしも万一、永住権審査が不合格で確定してしまった場合の、上の選択との兼ね合いだ。

「永住権審査中」スタンプの効力に移行すると、それまでのノン・イミグラントビザは無効となり、消滅する。

もしも永住権審査が、万が一にも不合格だった場合、ビザはどうなるのだろうか?

実は、この時に消滅したノン・イミグラントビザは、もはや復活させることは出来ない。

そうなると、何が起こるだろう……

単にノン・イミグラントビザが、また取り直しになるだけではない。
そう、ノン・イミグラントビザの連続延長年数に断絶が生じ、永住権申請資格上の滞在年数歴が、ゼロに戻ってしまうのだ。

こうなったら、再申請を目指すにも、また翌年というわけにはいかない。
再度の基礎資格づくりが必要となり、再申請まで最低でも3年という時間を要することになる。

上記は、私の個人的解釈ではない。
私の永住権申請の正式受理時に、入管スタッフから、「あり得るリスク」として説明されたものだ。

実際の運用では、不合格が確定するとそのようにダメージが大きいため入管側としても、一度正式受理した人には出来るだけ一気に不合格にはせずに、翌年以降に跨る「継続審査」の扱いにすることが多いとのことだ。
書類審査はOKだったがタイ語面接が通過しなかった場合にも、「継続審査」(次年度に再度タイ語面接)の扱いにすることがあるそうだ。

以下に私の私見を述べる。

この情報は、まあ知っておけば良いのであって、そんなに憂慮すべきことではないのかも知れない。
タイ永住権審査は、一種の「事前審査制」だ。
入管は、正式受理前に書類や資格を精査して点数を算出し、欠格者や合格可能性が低い人はそもそも受理せずにはじく、という運用をしている。
なので、永住権申請が受理されて晴れて「永住権審査中」スタンプが押されるまで至ったと言うことは、入管が、発給の成算ありと見なした人だと言える。
それなので、申請受理までたどり着いたのであれば、不合格の際のリスクはそう大きく心配する必要はないのかも知れない。

これは私の全くの私見なので、どちらを選ぶかは、申請者本人の判断だ。
入管担当者ともよく話し合って、決めて欲しい。

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