タイ永住権の受領のための入管出頭

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2020年12月

タイ永住権の受領のための入管出頭

タイ永住権の審査に合格すると、バンコクの入管第1ディビジョンで永住権を受領することになる。
受領手続きは少しややこしく、入管へ2回の出頭が必要だ。
1回目は「受領の申請手続き」で、2回目が「本当の受け取り」だ。
標準では、2回目の出頭日は、1回目から数えて3業務日目だ。

永住権受領・1回目の出頭(永住権の受領申請)

1回目の出頭日をいつにするかは、事前に入管に連絡して日取りを予約して置かねばならない。
予約なしでいきなり行っても対応してもらえない。
1日の取扱い人数枠が決まっているので、どの日なら予約できるかよく確認が必要だ。
指定されるのは日付だけで、時間は何時に行ってもいい。

1回目の出頭日に行うのは、「永住権を受領するための申請手続き」だ。
この日は「申請するだけ」なので、永住権はまだ受領は出来ない。
申請カテゴリーがタイ人の扶養者/被扶養者なら、1回目は配偶者等も同行が必要だ。

入管に着いたら、総合受付で永住権の受領申請であることを伝え、番号札を引いて待つ。

1回目の出頭で行うこと

以下、私の例を紹介する。
1回目の出頭日には、次を行った。

      1. 永住権受領申請書へサインして提出
      2. 配偶者もサイン
      3. 永住権を証する「居住証明書」(Certificate of Residence)への指紋押捺
      4. 居住地を管轄する警察署名を入管に通知
      5. 受領手数料(95,700バーツ)の支払い

上記4.だが、居住地を管轄する警察署名は、入管に来る前に自分で調べて置く必要がある。
5.の受領手数料は、私のカテゴリーがタイ人の扶養者/被扶養者なので、95,700バーツ。他のカテゴリーの場合には、約2倍の191,400バーツとなる。
受領手数料の支払いはもちろん、現金一括払いのみだ。
多額のキャッシュを持参することになるので、取り扱いには十分注意したい。

1回目の出頭での提出書類

1回目出頭日の提出書類は、以下の通りだった。

      1. 永住権受領申請書 ←入管側で作成。本人はサインするだけ
      2. パスポート 原本・コピー1部
      3. 労働許可証 原本・コピー1部
      4. 結婚証明書 原本・コピー1部
      5. 今後登録する住居登録書(タビアンバーン)原本・コピー2部
      6. 写 真 12枚

1~2と5~6の提出は理解できるが、3・4(労働許可証・結婚証明書)は永住権の申請時にとっくに提出してある。この期に及んでなぜまた再提出が必要になるのかは、謎だ。
申請時のステイタスに変動がないことを確認するためだろうか??

この手続きと今後の手順の説明で、3~40分ぐらいを要した。

永住権受領申請書は、代書料2バーツ!

永住権の受領を申請するためには、「永住権受領申請書」を書いて提出せねばならない。
私は現地でつまらぬ時間を喰うのは嫌だと思い、事前に書式をダウンロードし、自宅であらかた記入して置いた。
不明点のみをカウンターで確認の上で記入すれば、すぐ提出できると思ったのだ。

しかし、入管のカウンターでは、私名義の申請書が入管側ですでに作成されており、写真を貼ってくれて、サインだけしろという。

ずいぶんサービスが良いことだと思った。
タイの入管でこんなサービスを受けたためしは過去にない。

そして永住権受領手数料 95,700バーツを、金額きっちりで用意して来たので支払おうとしたら、2バーツ足りないという。
そんな端数が出るはずはない思い、私に手渡されようとしている領収書を覗くと、摘要欄に2項目が書き込まれている。
それは・・・

1項目目は、永住権受領手数料 95,700バーツ。
2項目目は、申請書記入料 2バーツ。

合計で、95,702バーツというわけだ。

つまり、入管側の先の申請書の作成は、きっちりと有料だったのだ。
しかし、それでもたった「2バーツ」とは、タイ入管の高額な手数料体系の中でも最安であるのは恐らく間違いない。

2回目の出頭日(受領日)の指定

永住権の受領申請手続きがすべて終わると、受領手数料の領収書を受け取り、2回目の出頭日が通知される。
この2回目が、永住権を本当に受け取る日だ。
標準では「1回目から数えて3業務日目」とのことだ。

私の場合には、6月15日(月)が1回目の出頭だったので、受領日は3日後の6月18日(木)となった。

確定した受領日は、受領手数料の領収書に書き込まれ、当日には領収書を持参して提示しろとのこと。

また、1回目に提出した書類はパスポートを含め、この日は戻ってこない。
受領日まで、入管に預けたままになる。

永住権受領・2回目の出頭(永住権の実際の受領)

2回目の出頭日は、永住権を本当に受け取る日だ。
やはり時間指定はなく、行くのは何時でもいい。
2回目は入管の総合受付で番号札を引かず、直接永住権担当デスクに向かう。
この日は配偶者の同行は必要ない。本人ひとりでOKだ。

この日受領するのは、次だ。

      1. 永住権を証する「居住証明書」(Certificate of Residence ใบสำคัญถิ่นที่อยู่)
      2. 入管から居住地を管轄する警察署に宛てた、外国人身分証明書(Certificate of Alien ใบสำคัญประจำตัวคนต่างด้าว)の「発行依頼レター」
      3. 預けてあったパスポート、労働許可証。

この日は、居住証明書の内容に誤りがないのを確認したら、上の三つを受け取るだけ。
他にすることはない。先客がいなければ、10分もあれば終わる。
私はいろいろと確認したいことがあったので話し込んだら、30分近くかかった。

永住権を証する「居住証明書」は冊子形式

この2回目の出頭日に、ようやく、永住権を証する「居住証明書」Certificate of Residence ใบสำคัญถิ่นที่อยู่ を受領する。
「永住証明書」と呼びたいところだが、正式名称がタイ語・英語ともそうではないので、このサイトでは正式名称に合わせて「居住証明書」と呼ぶ。

このような冊子だ。

私が受領した、永住権を証する「居住証明書」 Certificate of Residence

有効期限はなく無期限に有効。(タイ入国者法第48条)
この冊子の詳しいことや中身については、こちらに書いた。

参 照:居住証明書 Certificate of Residence とは何か?

パスポートの「出国カード」や「90日レポートのスリップ」が、もうない

そのほか、1回目に預けたパスポートなどが戻される。
パスポートには、ホッチキス止めしてあった「タイ出国カード」「90日レポートのスリップ」が、取り外されて回収されており、もうない。
「居所報告のスリップ」だけがまだ付いていたので、永住権デスクの職員に確認すると、「これもいらない」と取り外された。
今後は入管への「90日レポート」も、居を移した際の「居所報告」も、国外からタイに戻った直後の「居所報告のアップデート」も、する必要がなくなる。

パスポートに「居住証明書受領済みスタンプ」の押印

2回目の出頭日に手元に戻されたパスポートには、永住権を証する「居住証明書」が「受領済」であることを記す、タイ語のスタンプが押印されている。
次のようなものだ。

居住証明書の受領を記すスタンプ。上の長方形は違う。下の方がそうだ。

担当者によると、このスタンプは単なる居住証明書の受領記録であって、これ自体に何か効力がある訳ではないという。
そのため、今後パスポートが新しくなっても、このスタンプは移す必要はないとのことだ。

事実証明的な意味はあって、パスポートのこのスタンプを見れば、この日に永住権を受領している事実が分かる。
そのため、永住権受領前の最後の入国スタンプの滞在期限を過ぎていても、不法滞在でないことが分かる、という効果はある。

「再入国許可」Re-entry Permit は消滅!

パスポートには特に何も記載されないが、永住権審査中の期間に手持ちのノン・イミグラントビザの効力を維持して来た場合には、永住権発給の日をもってそのビザの効力が終了して消滅している。
そして、ビザに紐づいた「再入国許可」(リエントリー・パーミット)も、同様に効力が消滅している。
私のパスポートの再入国許可は、斜線を引かれ無効と書き込まれていた。

永住者になると、「再入国許可」(リエントリー・パーミット)ではタイを出入国できない。
今後は「永住者の再入国許可」役割を果たす、パスポートに押された「ノンクォーター・イミグラントビザ」+居住証明書に押された「裏書」で行うようになる。
そのため、永住者になるともう今後は「再入国許可」(リエントリー・パーミット)の取得が必要になることはない。
この委細はこちらにまとめた。

参 照:裏書きとノンクォーター・イミグラントビザの取得

「永住ビザ」の押印はない

永住権を受領しても、パスポートには特に何のビザも押印されない。
永住権は、「居住証明書」Certificate of Residence という冊子の形で受領している。
「永住ビザ」というものは発給されず、そういうものがパスポートに押印されることもない。
「永住ビザ」(イミグラント・ビザ Immigrant Visa)は、制度上は存在しているが、実際には発給されていない。
この委細は、以下にまとめてある。

参 照:驚き!タイに永住「ビザ」はない!

ノンクォーター・イミグラントビザの取得は任意

よく誤解されているが、ノンクォーター・イミグラントビザ Non-Quota Immigrant Visa は「永住ビザ」ではなくて、「永住者の再入国許可」の役割を果たす1年有効のスタンプだ。
タイを出国する予定があれば取得すればいいし、そうでなければ取得は不要。
どうするかは永住者本人の任意だ。

この委細は、こちらにまとめた。

参 照:ノンクォーター・イミグラントビザは永住ビザじゃない!

入管が定義する永住権「受領日」は1回目出頭日!

ところで、居住証明書(永住権冊子)の「発行日」だが、実際に受領したのは2回目の出頭日だった。
しかし、居住証明書に記載の発行日を見ると、受領申請をしただけの1回目出頭日の日付になっている。

そして不思議なことに、担当者によると、入管が居住証明書の「受領日」と見なすのは、この「発行日」の方だという。
つまり、居住証明書上の「受領日」は実際に受領した2回目ではなくて、まだ申請しただけの1回目出頭日が「受領日」なのだそうだ。
なので、実際に受け取った2回目の出頭日(3営業日後)は、もう「受領日から4日目」だというわけだ。

細かい話になった。
どうしてこんな日数こだわっているかというと、理由がある。

警察署での手続きは「受領日」から7日以内

発行から何日目だとか、そんな細かなことはどうでもいいと思うかも知れないが、決してそうではないのだ。

永住者は、入管で居住証明書の受領が終わると続いて、居住地を管轄する警察署で「外国人身分証明書」を申請して受領しなければならない。
実は、この手続きは「居住証明書の受領から7日間以内」とされているのだ。
そして、遅れた場合には、罰金(500バーツ)となる。
そのため、この数日の差がもたらす影響は、かなり大きい。

私が入管で居住証明書を「実際に受領した」のは、6月18日で、木曜日だった。
しかし、実際に受け取ったこの日がもう「受領日から4日目だ」と言うわけだから、「7日目」に当たるのは3日後の21日・日曜日だ。
だが、事前に地元警察署に確認しておいたところ、外国人身分証明書のような事務的業務は、土日は取り扱わないとのこと。
なので土日に当たる6・7日目には受領手続きは不可だ。
すると警察署で手続き可能なのは、「5日目」に当たる、明日19日金曜日のたった一日しかない。

入管担当者からは「『受領日』である1回目出頭日を1日目と数えて7日以内に、居所を管轄する警察署に出頭して外国人身分証明書を申請しろ」と、改めて念を押された。

これは、バンコクでぐずぐずしているわけにはいかない。
すぐにチェンマイに飛んで帰り、「明日中に」警察署に出頭しなければならない。
この日午後の帰路便を事前に押さえてあったのが、幸いだった。
しかし、こんな大事なことが、入管に受領手続きに行ったその場で初めて通知されるのだ・・・

なにもそんなに無理して急いで警察署に出向かなくとも、翌週にでも手続して遅延の罰金500バーツを納めるぐらいどうでもいいじゃないか、という考えもできる。
正直、大した額ではないし、罰金は納めればいいだけで、それで外国人身分証明書が受け取れなくなったり不利な記録が残ってしまうわけでもない。

が、私にとっては、長きに渡った永住権申請をずっとここまで「規則に完全に則って」「清廉に」「正しく」進めてきて、何一つ間違っていない。
なのに、待ちに待った永住権を受領した直後に「罰金」を喰らうなんて、あまりにも不合理だし、幸先が悪すぎる。
だから、それなのに罰金など額の多少に関わらず、まっぴらごめんだ。

2回目の出頭日は事前には分からない!

話が前後するが、バンコク入管での永住権受領手続きの、2回目の出頭日(受領日)がいつになるかだが、標準では「1回目から数えて3業務日目」だという。
但し、それは標準的な目安で、個々のケースが実際にいつになるかは、1回目の手続きの際に決定され通知される。
つまり、受領日は事前には分からないのだ。

しかしそれでは、私のように地方から受領に行く身には、バンコクに何日滞在が必要なのか、入管に行ってみるまでわからないことになる。
もし長引いて週を跨ぐなら、一旦チェンマイに戻り再度バンコクに行った方が、時間的・資金的にも楽だが、そういったことを含めて、日数が事前に分からなくては、ホテルも帰路便も手配のしようがない。
なにより、仕事を何日空ければいいのかが分からない。

なので、入管に1回目出頭日を事前調整した時に、2回目の日取りも確定できないかを何度か尋ねた。

しかし回答は、「1回目の手続きの際にその時の担当者が決定するので、その前に確約はできない」「通常は3業務日目だが状況により延びることはある」と繰り返すだけだった。

仕方がないので、バンコク前泊することにして1泊目のみ宿を手配し、2泊目以降および帰路便は、1回目の出頭が終わって2回目出頭日が確定したら予約することにした。
配偶者は2回目の出頭は不要なので、妻の帰路便のみを1回目の日の夕刻に確保した。
さらに、1回目の出頭の際には入管に、遠方からなので、2回目を早めに繰り上げてもらえないか交渉した。
しかし、1回目と2回目の間の日数というのは、入管内部で居住証明書の新規発給決裁を行うために必要で、内部の作業段階も多いので、繰り上げは出来ないとのことだった。
ただ、遅延はなく標準日数通りで出せるとのことで、3日後が受領日となった。

わたしは1回目の出頭が終わって入管を出ると、すぐに階下の喫茶店に直行し、その日から2泊の宿と3日後の帰路便をスマホからネット予約した。

いろいろごちゃごちゃと書いて、分かりにくかったかもしれない。

申請日から「3業務日目」の受領とは、月・火に申請していれば週内(木ないし金)だが、水~金に申請すると翌週だ。
しかし、それはあくまで標準日数であって、実際の受領日は申請時に指定される。

とにかく、永住権の受領は特に地方・遠方からの申請者には、ずいぶんとやさしくないシステムだ・・・
地方から受領する際には、こういったことをよく念頭に置いて、旅程や経費目安を立てたい。

「居住証明書」受領後の役所の手続き

入管で無事に、永住権を証する冊子「居住証明書」Certificate of Residence を受領したら、上に述べた警察署とさらに郡役所(居住地によっては区役所・市役所)でも、規定日数内に、それぞれ必要な手続きを済ませる必要がある。
これは、新規永住者が永住権の受領に伴って、義務的に課される手続きだ。
つまり、実質的なタイ永住権の受領手続きは入管だけではなく、「入管」「警察署」「郡役所等」の3か所での諸手続きを終えて、完了するのだ。
この委細は、こちらにまとめた。

参 照;受領後に必要な諸手続き

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