タイの日本人永住者は在留邦人のわずか2.3%?

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2020年8月
最終更新 2022年8月

タイの日本人永住者は在留邦人のわずか2.3%?

日本人のタイ永住権保持者は、少ない少ないと言われている。

実際のところ、どうなのだろうか?

統計を見てみよう。
日本外務省の令和4年度(2022)「海外在留邦人数調査統計」(2021年10月1日現在)によれば、タイの在留邦人の総数は、82,574人だ。
内訳は、長期滞在者が80,695人。永住者が1,879人。

割合にすると、どうだろうか?
タイの在留邦人全体に占める永住者の割合は、実に、たった2.3%だけなのである。

この割合は、極めて少ないと言える。

タイの永住日本人は他国との比較でも格段に少ない!

ただ、タイだけの数字を見ても多いか少ないかあまりピンと来ないので、世界で在留邦人が最も多い上位10か国の間で、タイの永住者の割合はどのぐらいの位置にあるのかを比較してみよう。

「海外在留邦人数調査統計」令和4年度(2022)版が挙げる数字から、わたしが表にしてみた。

すると、とても興味深い事実が見えて来る・・・

国 名 在留邦人の総数 うち永住者の数 永住者の割合
アメリカ 429,889 218,250 50.8%
中 国 107,715 3,619 3.4%
オーストラリア 93,451 59,293 63.4%
タ イ 82,574 1,879 2.3%
カナダ 70,892 49,120 69.3%
イギリス 63,653 25,615 40.2%
ブラジル 48,703 45,420 93.3%
ドイツ 42,135 16,068 38.1%
韓 国 41,238 13,871 33.6%
10 フランス 36,347 9,240 25.4%

タイは在留邦人の総数では世界第4位なのに、そこに永住者の占める割合はわずか2.3%。人数はたった1,879人でしかない。
なんとこれは、割合も人数も10か国の中で最低だ。
しかも、中国は永住権が極めて取りにくいことで知られるが、その中国の永住者割合と人数(3.4%・3,619人)よりも低い。

各国の在留邦人に占める永住者の割合をよく見ると、タイと中国以外の8か国では、どこもひとケタなどない。
日本人移民の子孫が膨大なブラジルの93.3%は別にしても、カナダが69.3%、オーストラリアが63.4%、アメリカが50.8%と、永住者が5割を超える国がいくつもある。
イギリスとドイツも、それぞれ40.2%・38.1%と高い割合だ。
8か国で一番少ないフランスですら、25.4%である。

これに対して、タイはたったの2.3%・・・

このように、タイは在留邦人が多い世界10ヵ国の中で、永住者の割合も人数も格段に少なくて最低だ。
タイの永住日本人がいかに際立って少ないかが、よく分かるだろう。

このような客観的事実から、タイの日本人永住者は在留邦人が多い他国と比較して「割合も人数も著しく少ない」ことがはっきり分かる。

在留届の「永住者」イコール永住権保持者ではないが・・

もっとも、この統計は日本大使館/総領事館に提出された在留届に、「長期滞在」と「永住」のどちらにマルを付けたかで作成される。
在留届の「永住」は、イコール「永住権保持者」ではない。
「永住を自らの意志で希望している場合でも可」とされているからだ。

そのため、永住権がなくても永住希望だとして「永住」にマルを付けた人もカウントされる。
逆に、永住権を得たからといって、わざわざ在留届の記載を「長期滞在」から「永住」に変更したりなどしない人もいるはずだ。こういう人はカウントされない。
(私は、わざわざ通知して変更した)

参 照:在留届の変更(長期滞在→永住)

実際の永住権保持者は2~3%程度?

なので、これだけでは日本人タイ永住権保持者の正確な数は不明ということになる。
タイ入管が一般に公表している統計には、国別の永住権保持者数はない。
実際のところ、日本人永住権保持者の数は恐らく、日本側が把握している2.3%という数字よりはもう若干多いだろうと、個人的に考えている。

なぜなら、永住権を取得したからと言って全員が全員、わざわざ在留届の変更届を日本大使館/総領事館に提出して「長期滞在」から「永住」に変更しているとは考えにくいからだ。
統計上、毎年のタイの「永住」の人数は年を追うごとに微増しているので、実際に「永住」に変更している人がいるであろうことは間違いない。
わたしもそうして変更した。
しかし、永住権を得たからと言って、そこから在留届の変更まで思いつかない人や、わかっていてもやれていない人も、きっといるだろう。

ただ、それを言い出すと、では母数となるタイの在留邦人総数の本当の数が、在留届を出してない人や帰国しているのに届を抹消していない人も含めればどのぐらいか、という話にもなってくる。
これは分かりようがないので、言い出すとキリがない

しかしそれでも、タイに長年住んでいる中での「肌感覚的な実感」を言えば、日本人永住権保持者に出会うことはかなり稀で、大体2-3%というのは体感的にもかなりしっくり来る。
それなので、「タイの日本人永住権保持者数は大体2~3%程度」だとざっくり考えて大きく間違うことはないだろう、というのが、私がタイに20年以上住んでいる中での実感だ。

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