2020年11月
目次
永住権審査のタイ語面接
永住権審査のタイ語面接の目的は、「タイ語を聞いて話す能力の確認」と、「人物確認」とされる。
会話のみで、筆記や読解はない。
「国家を歌わされる」と言っている人もいるが誤りで、国家は歌わない。
面接を受けた印象としては、「日常レベルのタイ語会話力の確認」と言った程度だ。
ここで評価対象になるタイ語力とは、面接をした結果のみだ。
なので、それ以外の例えば、タイ語学校の成績だとかタイ語検定の結果などは、提出する必要はないし、受理も考慮もされない。
少しでも審査を有利に進めようと、そういうものを出したい人もいるようだが、面接結果以外は評価対象ではなく、出したところで無効だ。
1回目の面接の代わりに自宅訪問
タイ永住権審査の面接は、入管職員との予備面接と本面接の合計2回行われるとされる。
が、私の場合は地方から申請したせいか、1回目の面接呼出はなかった。
その代わり、地元のチェンマイ入管の職員2名の自宅訪問があった。
訪問した職員によると、この訪問はバンコク入管からチェンマイ入管へ、永住権申請者に対する調査依頼が来たので、実施したとのこと。
自宅訪問では、私・妻・証人(申請者をよく知るタイ人。外国人不可)の3名に、都合1時間半ぐらい聞き取りをした。
証人はこちらで見つけておかねばならないが、タイ人であっても親族は不可だという。
そう言われても、平日の真っ昼間に呼べる人も限られる。
長く世話になっている会計士さんに、友人として来てもらった。
質問内容はありきたりのことで、仕事や生活、夫婦が知り合った経緯、これまでの経歴などだった。
印象としては、永住権申請者が、申請書通りに実在しているのを現場確認しているような感じだ。
聞き取り内容が、各人ごとに1通ずつ調書にまとめられて、サインした。
職員はノートパソコンとプリンター持参。調書は、職員が私の家のリビングでパソコンを打って作りその場で印刷された。
サインした調書はバンコク入管に送られて、永住権審査のための材料となるとのことだった。
タイ語面接の通知レターは届かなかったが・・
バンコクでのタイ語面接は、2019年6月12日に行われた。
永住権申請受理が2018年12月16日だったので、約半年後だ。
5月中に入管担当者から妻にLINEで、面接日決定の連絡があった。
配偶者の同行も必要なので、妻も来るようにとのことだった。
面接は、指定された日に行かなければならない。
どうしても無理な場合には、面接全体が3回に分けて行われるので別な日に振り替えるから、事前に言えとのこと。
そして、いずれの日にも行けない場合には、放棄となり失格するとのことだった。
私たちは指定日通りで都合がついたので、その日で良い旨を回答した。
追って正式な面接通知レターを送付するとのことだったが、レターは結局送られてこなかった。
これも入管担当者に確認したが、もう名前は登録されているから、届いていなくても問題ないので、指定の面接日時に来いとのことだった。
面接当日

面接は早い順番をお願いして置いたら、朝9時半が指定された。
事前の手続きもあろうと、バンコクに前泊して朝イチの8時に入管に行く。
しかし面接委員が揃わないため開始が遅れ、実際に私の面接が行われたのは10時半過ぎ。
私の順番は3人目だった。
1人目は西洋人のお坊さんで、2人目は会社経営の台湾人だった。
私の後に、申請代行会社経由の日本人が2人いた。
指紋押捺
面接の順番を待っている間に、指紋押捺があった。
両手全指を取る。犯罪記録と照合される。
永住権の申請準備から受領の過程で、指紋は4回押捺するが、全指を取るのは、日本大使館/総領事館での無犯罪証明書申請時とこの時の、2回だけだ。
他の2回は右手親指のみ。
指紋押捺は、印鑑を押すように真上から垂直に押すのではない。
まず指の内側を着地させ、外側に向かって徐々に転がすように指を動かす。
慣れなければとてもできないが、実際には担当者が指を誘導してくれるので、力まずに任せるとうまく行く。
配偶者の調書作成
永住権を、タイ人の扶養者/被扶養者のカテゴリーで申請している場合には、タイ語面接時にタイ人家族が出頭して調書作成がある。
私の場合は妻だ。
調書取りがあるはずなのだが、実は、この日来る前までに入管担当者から妻に五月雨でLINEがあり、調書取りのための質問が事前にされて、回答してあった。
この日はなんと、すでにその回答に基づいて調書が出来上がっている。
妻はそれを一読して、2-3カ所訂正してもらったら、サインをして終わり。
まともに調書を取れば1時間はかかる分量が、10分かからなかったそうだ。
タイ語面接の本番
私のタイ語面接は約20分だった。
面接室近くの廊下の長椅子に番号順に座って待ち、順番が来たら呼ばれ、ひとりで面接室に入る。
審査員は5名。正面の長テーブルに並んで座っている。
こちらは対面の長テーブルに、一人で座る。
部屋にはほかに、書記役や庶務役のような人が3-4人いる。
ビデオ撮りされると聞いていたが、どこにカメラがあるのかは気が付かなかった。
最初は自己紹介から
最初に自己紹介しろとのこと。
経歴やタイでの活動などを、5分ぐらい一方的にタイ語で話した。
そして質問が浴びせられる・・・
続いて、審査員の質問に答える。
審査員席の面々は、権威主義的なタイの官僚そのものと言った風采で、いかにも偉そうに見える。
最初の質問は何かと、身構えた。
経歴の不明点か何かを、厳しく掘り下げられるのだろうか??
その1問目は・・・
「あなたは、運動しますか?」
予想をはるかに超える軽い質問に、ズッコケるぐらいに拍子抜けした。
運動をテーマにさらに掘り下げて行くようなことではなく、「今はあまりやっていません、朝夕にウォーキングをするぐらいです。たまに走ったりしますが月に2回程度でしょうか」と答えたら、この質問はそれで終わり。
その後も軽い質問ばかりが続き、家族構成、健康、食べ物の好み、仕事の内容、それにタイ社会への寄付や貢献などが聞かれた。
質問によっては、こちらの回答に対して追加質問がなされた。
面接官の態度は、つっぱねたり疑ったりというようなものではなく、普通に友好的だった。
かしこまった雑談?
面接全体の印象だが、厳しい指摘や追及はなく、私の感覚では「え、これだけでいいの?」という感じで、まるで「形だけやたらかしこまった雑談」に近い感じだった。
こういうやりとり通して、タイ語力だけでなく礼儀や人格等も確認しているとのことだ。
終わった順に解散
こんな調子で、20分のタイ語面接はつつがなく済んだ。
面接が終われば他にすることはなく、終わった順に解散となり、帰路に着く。
タイ語面接の配点は10点
タイ永住権の審査は点数制だ。
タイ語面接の配点は10点。面接結果は0~10点で評点され、書類審査の点数に合算される。
永住権審査は50点が合格ラインで、書類と面接の合算で超えればよい。
点数制の詳細は、こちらを。
タイ語面接の採点基準は、公開されておらず不明だ。
私の勝手な自己採点では、こんな雑談みたいのでいいなら、まあ7点以上は堅いだろう、というような手ごたえだった。
(担当者からは、10点を取るには出入りの際のあいさつ所作なども含めてかなり完璧じゃないとダメだよ、と聞いた)
私の書類の点数が47点だというのは、申請が正式受理された時に教えてもらっていた。
面接はどう転んでも3点は超えたろうし、なので、これで永住権審査は間違いなくパスするな、というのが面接を終わっての印象だった。
タイ語が全くダメだとどうなる?
しかし、審査は書類だけで50点を超えていれば、タイ語面接は0点でも良いかというとそうではない。
タイ語面接の点数があまりにも低いと、不可だそうだ。
担当者によると、そもそも面接で0点に近いようなタイ語が全く出来ない人物は、書類申請のやり取りの時点で判明するので、大体はそこで不受理にするという。
可能性が分かれるのは、ゼロではないがようやくなんとか出来る程度といった、低空飛行の場合ではないだろうか。
タイ語面接の点数には、書類の点数如何にかかわらず不可となる最低ラインがあるようだが、その詳細は不明だ。
関心ある人は、頑張って聞き出してほしい。