就労経歴証明書の取得

この記事をシェア!

2020年10月

就労経歴証明書とは何か?

「就労経歴証明書」とは、労働事務所が発行する公文書で、申請者がこれまでにタイで労働許可証を得て就労した経歴を、リストにして書き出したものだ。
タイ語では ナンスー・ラップローン・プラワット・カーンタムガーン หนังสือรับรองประวัติการทำงาน という。

「労働許可証の証明」  ナンスー・ラップローン・バイアヌヤート・タムガーン หนังสือรับรองใบอนุญาติทำงาน Work Permit Certification Letter とも呼ばれる。

自分が労働許可証の発給を受けている労働事務所に出向いて、申請し発行してもらう。
証明書には、会社/組織名・職種、労働許可証の番号・発効日・失効日が記載される。
複数の就労歴があれば、それぞれについて時系列に記載される。

要点は連続就労年数の証明

就労経歴証明書の永住権審査上の要点は、連続就労年数の証明だ。
「タイで何年就労しているか」は、就労経歴証明書が示す就労歴によって証され、判断される。

就労者が永住権を申請する基礎条件のひとつに、「3年以上の就労歴」がある。
また、永住権審査は点数制だが、就労歴が長ければ長いほど、点数が多くなる。
就労経歴証明書が、これらの判断材料になるわけだ。

就労経歴証明書の実物を紹介

証明書の実物を紹介すると、こんな書類だ。
クリックで拡大できる。

私が取得した就労経歴証明書。

転職があるなら切れ目に要注意

転職歴がある場合、「永住権審査上の就労年数」として評価対象になるのは、「永住権申請日現在まで、切れ目なく連続している就労年数」のみだ。

連続とか切れ目は、契約書上の日付ではなく、労働許可証の発効日・失効日から判断する。

例えば、前職の労働許可証の失効日が、10月5日だったとする。
現職の許可証の発効日が10月10日であれば、切れ目が生じている。
連続就労年数は10月5日で切れて、そこでゼロに戻ってしまったのだ。

もしそうではなく、現職の許可証の発効日が翌6日ならば、連続している。
たった1日でも連続しなければ切れ目と見なされ、連続就労年数がゼロに戻ってしまうので、よく注意が必要だ。

こういう事実が、労働許可証の発効日・失効日という形で、就労経歴証明書に反映されるわけだ。

永住権申請を考えている人で、近く転職の可能性があるが就労経歴を切らしたくない人は、労働許可証が連続するように、十分に準備した方が良い。
ただ、1日も途切れずに連続させるには、自分の努力だけでなく、新旧二つの職場の理解と協力もなくてはならず、なかなか難しい作業になるが・・・

前職のが金曜に失効し、現職のが翌月曜に発給されているような場合の扱いがどうなるのかは、入管によく確認して欲しい。

また、こうして前職を就労歴に通算する場合、永住権の申請条件に合致するには現職の在職期間が1年以上あることが必要だ

前の労働許可証を返納していない場合

前の職場の時にもらった労働許可証が、今も手元にある場合もあるだろう。
元の冊子を返納したかどうか自体は、永住権申請に何も影響しない。

この場合、前後の職歴を連続させたい時の留意点は、前の許可証の本当の失効日がいつかだ。
実際の退職日が許可証記載の満了日よりも早かった場合、前の許可証の満了日と今の許可証の発行日が連続していると思っていても、前の職場が退職と同時に、労働許可証の失効届を出してしまっているかも知れない。
その場合には、その許可証は届けがあった時点で失効している。
そういったことは、労働事務所が就労経歴証明書の作成のために発効日・失効日を調べれば分かり、証明書に反映される。

転職していて就労歴を連続させたい場合、こういった点にもよく注意が必要だ。

連続しない古い就労歴は、意味がない

入管担当者から聞いたことだが、以前の就労歴で切れ目も生じて現在まで連続せず、永住権申請上の就労年数に関係しないものは、就労経歴証明書に書かれていようといまいと永住権審査上の評価対象ではなく、意味がない。

タイに赴任歴が3回あるといった人もいるだろう。
この場合、現在まで連続しない以前の就労歴は、あえて就労経歴証明書に記載してもらおうとすれば出来るが、永住権審査上は無意味だ。

古い就労歴は、当時の職場・パスポート番号・労働許可証番号・勤務年を分かる範囲で伝えれば、労働事務所の方でたどって調べてくれ、確認が取れれば就労経歴証明書に書き込まれる。
ただ、そのためには自分も、根拠や手掛かりとなる古い記録を探して労働事務所に提出せねばならない。
現在まで連続しない就労歴を、わざわざ自分で調べて根拠を集め、そういう労力を払ってあえて記載してもらっても評価対象にならないのだから、メリットはないと言える。

申請先と申請書類

申請先は労働事務所

就労経歴証明書の申請は、自分が労働許可証を取得している県の労働事務所で行う。

申請書類

就労経歴証明書の申請書類は、次の通りだ。
申請箇所によって、少し異なるかも知れない。

      1. 申請書
      2. パスポートの全ページコピー
      3. 労働許可証の全ページコピー
      4. 勤務先の会社/組織から労働事務所長に宛てた、就労経歴証明書の発行依頼状
      5. 勤務先の会社/組織の、登記書の写し

就労経歴証明書の申請書は、労働事務所の書類なので、入管の方のサイトにはない。
参考にここに上げて置く。

参 考:就労経歴証明書の申請書(PDF)

申請手数料

10バーツ(収入印紙)

注 意:申請には職場の協力が必要。ひとりではできない!

申請には職場の長からの発行依頼状が必要!

大事な留意点だが、就労経歴証明書の申請には、勤務先の職場の長から労働事務所長に宛てた「就労経歴証明書発行のための依頼状」と、法人登記書の写しが必要だ。
依頼状には特に書式はなく、レターヘッドがある便せんに任意に書き起こす。
内容は「今般こうこうの理由でウチの職員の○○が就労経歴証明書が必要になったので、発行をお願いします」といったものになる。

入管の永住権申請のサイトに、労働事務所に宛てる発行依頼状の書式見本があるので、参考にするとよい。

こういう依頼状を添えるので、就労経歴証明書の発給申請は形式上、本人ではなく勤務先の長が行っている形になる。
そのため、発行される就労経歴証明書の宛名も、本人宛てではなくて勤務先の長宛てになる。

このように、この申請準備は本人だけでは出来ず、職場の協力が必要なので、十分に注意を要する。
申請自体は、労働事務所の窓口に出向くのは本人でも良い。

職場との関係を大事に

自分自身の経歴が欲しいのに、なぜ職場の依頼状が必要になるのか、釈然としない向きもあろうと思うが、そうなっている以上はこだわっても意味はない。
むしろ重要なのは、就労している場合の永住権申請は、職場の協力がなければ成立しないということだ。
まして、職場に全く黙って申請を行うことなど、絶対にできない。

自分で経営しているような場合はいいが、職場の理解はとにかく重要だ。

発行にはひと月ぐらいかかる

就労経歴証明書の発行には調査が必要なため、すぐには出来ない。
1か月ぐらい見る必要がある。

受け取ったら、記載内容に誤りがないかよく確認しよう。
転職しているが就労は連続している場合、その事実が正しく反映されているか、よく確認が要る。
もしも不備があれば、急ぎ訂正が必要だ。

この記事をシェア!