2021年9月
目次
タイ永住権は必要か? という議論は・・
タイ永住権は、申請に苦労するのに得ても利益が少ない、という言われ方をすることがある。
「タイ永住権の取得が果たして必要なのか?」
「取るメリットがあるのか?」
この議論は、もうこれまでにされ尽くされている。
ここで深入りする気はない。
あえて言うとすれば、「タイ永住権が必要か?メリットがあるか?」という問いは、問いの設定自体が少し違うように思う。
タイでの生き方など、ひとりひとり違う。
タイ永住権自体に、万人に共通する絶対的な必要性やメリットなど、あるはずがない。
そうではなくて、「取得しようとする側」が自分の生き方から、「タイ永住権のどこに、どういう必要性やメリットを見出すか?」に、尽きるのではないだろうか?
そこにはさまざまな観点がある中で、必要性やメリットを見出した人には必要だろうし、そうでない人には不必要なのだろう。
まあ、あまりにも当たり前の話だ。
自分が必要だと思うなら、必要だ
私の考えは、ひとつだけ。
それは、 タイ永住権は「自分が必要だと思うなら、必要だ」
タイでの生き方がひとりひとり違う中で、当人に永住権が必要かどうかを判断して決めるのは、他の誰でもなくて、当の自分自身しかいない。
私はタイ永住権が「必要だ」と思ったので、取得した。
理由は、タイにしっかり腰を据えることに決めたので、「タイに永住したい」からだ。
「タイ永住権」には「永住」しか期待していない
私がタイ永住権に「期待」しているのが何かといえば、それはもっぱら「タイに永住できること」だ。
最大のメリットは滞在ステイタスの生涯に渡る安定と安心
私は今後の半生を、タイにしっかりと腰を定めると決意した。
しかし、もしもビザ延長の繰り返しで住まい続けるなら、毎年の煩雑な延長手続きが、どんなに高齢になっても一生涯付きまとう。
ビザ延長が必要な限り、「永続性」が先々まで担保されているとは言えないので、何らかの理由で滞在ステイタスが失われる潜在的可能性は、常に残る。
後になって滞在ステイタスを喪失したり、どうにか維持しようと右往左往するのは、絶対に嫌だ。
永住権を取ったことで、「将来に渡るタイ居住の永続性」が間違いなく担保され、こういう潜在的な不安定さから完全に解放された。
誤解されないように書くが、別段に高齢になってからが心配で永住権を取ったわけではない。
なにより重要と思ったのは、「タイに住まうステイタスの一生涯に渡る揺るぎない安定」だ。
自分がこのように安定することは、家族の安定そのものでもある。
そう思ったので、「取れるなら取って置くか」と何となく永住権を取ったのではなく、それなりの決意と熱量のもとに取った。
そのような意味で、永住権という形で、タイに生涯に渡ってずっと住まえるステイタスの確たる安定を勝ち得たこと。
そして、そこから得られる安心。
これが、私にとって永住権を取った最大のメリットだ。
もちろん、このメリットの捉え方は私に特有のものだ。
こうしてご参考までに記してはいるが、捉え方・感じ方は人それぞれであって、なにより私のことは当の私が良ければそれでよいのであるから、特段、他人様に同意して欲しいというようなものではない。
その上で私自身について言えば、タイに住まうステイタスの確たる安定をこうして得られ、本当にこんなに安心なことはないと、強く感じている。
取ってよかったかと聞かれたら?
取ってよかったか?
と聞かれれば、もちろん
「とても良かった」
と答える。
これでタイに住まう基盤がゆるぎなく安定し、今後は居住ステイタスが失われることを何も心配することなく、ずっとタイに住まうことができるのだから。
「将来はロングステイ・ビザでいい」は安全か?
「現役を退いてリタイア年代になってゆくゆく独り身になればロングステイ・ビザで十分だ」と言う人もいる。
この発想は危険で、私は採らなかった。
来年再来年にもリタイアすると言う人ならば、それでもいいのだろう。
しかし、私はまだまだ現役真っただ中の世代だ。
では問うが、20年後には、タイのロングステイ・ビザはどうなっているだろうか?
・・・一体誰がこの問いに答えられるだろうか。
答えられる人は、誰もいない。
20年後にタイのロングステイ・ビザがどんな条件で存続しているのか、さらにはロングステイ・ビザそのものが存続しているかどうかなど、誰にも全く分からない。
ロングステイ・ビザは「制度の永続性」自体が、明瞭ではないのだ。
長い将来に渡るタイでの人生設計を、そんなあやふやなことを前提にする訳には行かなかった。
タイ永住権に伴う他の役得は私にとってはおまけ
タイ永住権を取得したことで得られるいくつかの役得と、たとえ永住権を取っても出来ないことは、もうこれまでに、いろいろなところで議論されて来た通りだ。
ここでいちいちには触れないが、私にとってはそれらは「おまけ」と言っていい部分だ。
私がタイ永住権に期待するのは上にも書いた通りで、「永住できる」という一点だ。
付随する他の役得は、私が永住権申請を検討する上で、主たる関心の焦点ではなかった。
「タイ永住が決まっている人」と永住権
わたしにはもとより、他人様の生き方についてどうこうすべきなどと言う権利はない。
ただ、わたしには、タイ永住権の取得を検討するメリットが大なのではないか、と思う人たちがいる。
それは、たとえ永住権があろうとなかろうと、「タイに永住することがほぼ決まっている」人たちだ。
最も典型的なのは、タイ人と結婚してタイで家庭と生活基盤を持った人たちだと思う。
タイ生活が長くなれば日本の生活基盤がなくなるので、長くタイにいるほど、「日本の帰る先」はなくなって行く。
配偶者のみならず子もほぼタイ人として生育していれば家族で日本移転など全く現実的ではないし、タイの家族を置いて本人だけが、何十年も離れて生活基盤もなくなっている日本に帰国するというのもまた現実的ではない。
だから実際のところ、永住権のあるなしにかかわらず、タイに永住することが決まってしまう。
特に留意が必要なのは、結婚Non-Oビザはタイ人配偶者に先立たれると、もう延長することが出来ない不安定さがあることだ。
(タイ国籍で有職の子がいて、子に扶養されるなら別)
わたしの個人的な考えだが、だったらこのような人たちこそ、永住権を取得することでタイの永住ステイタスを安定させるのが一番ではないかと強く思う。
タイ永住権は維持条件が緩い
最後に、タイ永住権のメリット云々の議論で、ほとんど取り上げられることがない点について触れておく。
タイ永住権は、世界的に見ても、取った後の維持条件が緩い。
別の言い方をすれば、「維持がしやすい永住権」であると言える。
特に挙げられるのは、次の二つだ。
◆一度取得してしまえば「延長」や「更新」がなく、定期的な資格審査的なものが、ほとんど何もない。
◆年間の「タイ国内最低滞在日数」に何の規定もないので、出国許可(1年)の範囲内なら、年間のタイ出国日数に制限がない。
タイ永住権の「維持のしやすさ」に視点がいかない理由は、恐らくこういう議論をする人の大半が、実際には永住権を得たことがないからだろう。
一方、本当に永住権を得たのなら、永住者にとってなにより重要なのは、その維持だ。
「維持の条件」に関心を向けることなく永住権のメリットを云々するのは、現実の永住者の視点で見れば、ポイントがズレていると感じられる。
タイ永住権の維持については、以下にまとめた。
参 照:タイ永住権の維持
参 照:タイ永住権者が得る3つの冊子とその維持