2020年8月
目次
タイ永住権は申請自体が受理されるかどうかが、最大のヤマ!
タイ永住権審査の最大のヤマは、「申請自体が正式受理されるかどうか」だ。
正式受理する前の段階で、申請書類がすべて精査される。
そして、「申請資格に欠格が判明」「完全書類でない」「書類は揃っているが互いの内容が整合しない」「『点数』の概算が合格ラインよりあまりに低い」(後述)といった場合には、申請自体が受理されない。
このチェックはかなり厳しくなされる。
これはいわば、「事前審査制」のようなやり方だと言える。
受理前の事前精査によって「大丈夫な人だけを受理」し、そうでない人は「門前払い」にして、受理前にはじくのだ。
それなので実質的な審査は、実はもう受理前から始まっている。
そして、この事前精査をくぐり抜けて正式受理に至るかどうかが、最も厳しい最大のヤマ場だ。
特に個人申請では、1回の提出であっさり受理されることは非常に稀で、少なくとも1回以上、人によっては何回かの訂正を経てようやく受理に至る。
欠格や点数未達等が明らかになれば、最終的に不受理もあり得る。
だから、タイ永住権申請が正式受理にまでたどり着いたなら、一安心だ。
もうヤマは越えている。
あとはタイ語面接に決定的問題がなければ、ほぼ審査を通ったと思っていいらしい。
書類準備は計画性を持って
申請受付期間は、その年の分だけがその年に発表される
タイ永住権の申請受付期間は、年間を通していつでも受け付けているわけではなく、毎年、指定された特定の期間にだけ受け付ける。
期間はあらかじめ固定的には決まっていない。その年ごとに決定され、閣議決定を経て公示される。
実際には、受付開始日には年ごとにかなり変動がある。しかし、受付終了日は12月の最終業務日、というのがずっと踏襲されている。
受付終了は事実上12月末で固定で、開始日だけが年ごとに前後するわけだ。
受付開始日の変動は、私が確認している範囲で極端なのを拾うと、7月開始(2019年)や、12月半ば開始(2017年)がある。
2019年は7月から6か月間も受け付けていたのに、2017年は、12月中旬以降のたった2週間だけだったわけだ。
ただ、7~8月から開始されるのは稀だ。
ほぼ9月以降のいつかに始まって、12月末で終わるのである。
なので、申請する年になったらこれを念頭に、日程の公示を待たずとも12月の早い時期には正式受理されるよう、繰り上げ繰り上げで書類準備を進めて行くのが無難だ。
タイ永住権の募集時期の委細は、こちらにまとめた。
タイ全国で永住権を取り扱うのは、バンコク入管の永住権担当デスクのみ
タイ入管で永住権実務を取り扱うのは、タイ全土でただ1カ所。
バンコク・ラクシー区の官庁合同庁舎B棟にある、入管第1ディビジョン(Immigration Division 1)の、永住権担当デスク(D及びEデスク)だ。
バンコクのイミグレーション・ディビジョン1
永住権を取り扱うEデスク
鉄則! 問い合わせはすべてバンコク入管永住権デスクへ!
永住権に関することは、すべて、バンコク入管第1ディビジョン(Immigration Division 1)の、永住権担当デスク(D及びEデスク)に直接行う。
これが鉄則だ。
地方の入管では、質問も申請もしてはならない
なお、入管制度上は、地方の入管支部でも永住権申請を受け付けることになっている。
しかし実態は、ただバンコクの永住権デスクに、書類を取り次いでいるだけだ。
そして問題は、地方の入管支部には永住権の実務詳細を知る人が全くいないので、書類不備をはじめあらゆる点で、正しい指摘やアドバイスを受けることが出来ない。
それどころか、担当者の思い込みで間違った情報が伝えられることもある。
これは、タイ入管が永住権業務を、バンコク入管の永住権担当デスク1か所に集約して取り扱っていることに起因する。
その結果、たとえ入管職員でも永住権デスクに所属したことがない限りは、永住権分野の実務には全く触ったことがなく、委細も知らない、という状況が生じている。
そのため、地方入管レベルで一旦受け付けられたように見えても、バンコクの永住権デスクで精査したらリジェクトされてしまう可能性が高まるし、訂正しようにも何がどう問題なのかよく分からなかったり、バンコクと地方入管間の書類のやりとりだけで貴重な時間が浪費されて、締め切りまでに訂正に充てる時間が失われてしまう可能性も高い。
質問も然りだ。
地方入管では永住権の正しい情報は、尋ねても引き出せない。
あやふやな情報を得て準備を重ね、後で違うと分かって再度準備するようなことになれば、大変なことになる。
地方在住者は、バンコクに足を運ぶのが「遠い」という理由で、地元の入管で問い合わせや申請を済ませたくなるかも知れない。
しかし、それは大変危険だ。
永住権申請に地方の入管を通すことには、リスクこそあれ何のメリットもない。
私が提出した永住権申請書類の分量
私が提出した永住権申請書類の分量を、参考までにあげておこう。
申請書類の厚さは7センチ近い。
手提げかばんに入っているのは、申請書類だけ。
これでだけでかばんが一杯。
コピーして2部作ってあるので、カサばかりが多いというのはある。
自分の申請カテゴリーを確認する
タイ永住権には、いくつかの申請カテゴリーがある。
自分に合った正しいカテゴリーを選択するのが、まずは重要だ。
カテゴリーによって、申請基礎条件も準備書類も大きく異なるからだ。
ここを誤ると、とんでもないことになる。
カテゴリーの詳細については、こちらにまとめた。
個人申請なら、永住権デスクで申請書類の事前チェックを!
1回の提出だけでは完全書類にはまずならない
重要な点だが、個人で自力で申請する場合、1回で完全書類を提出するのは、まず十中八九、不可能だ。
必ずどこかしかの追加訂正を指示されるので、そのつもりで構えよう。
私は重要書類以外にも、例えばパスポートコピーの画像の向きがダメで、訂正となった。
画像の向きの指定など、申請書類一覧には書かれていない。
このような明示されない要件は、出してみて初めて分かる。
参 照:パスポートコピー
どこかしかの追加訂正を指示されるということは、それだけ何度も入管に足を運ばなけれならない、ということでもある。
遠方からの申請であれば、バンコクの入管に行くこと自体がかなり大きな負担だが、こればかりは致し方ない。
そういうものだと割り切って構えよう。
注意深く準備すれば、一回の訂正だけで完全書類にすることは可能だ。
申請前の書類事前チェックは必ず受ける
申請書類があらかた整ったら、揃っている範囲の全書類を持って永住権担当デスクを訪ね、自分が揃えた申請書類の事前チェックとアドバイスをもらおう。
永住権の申請受付開始前でも、直接出向けばやってくれる。
この事前チェックのプロセスを踏むのは、「申請の肝」と言っていいぐらいに重要だ。
遠方だからなどと言って、労力を惜しんでは決してならない。
タイ永住権の審査は「点数制」だ。
事前チェックの際には、申請者の「点数」の概算を算出して教えてくれる。
もしも算出してくれない時には、お願いして算出してもらおう。
「点数制」の委細については、こちらにまとめた。
事前チェックのタイミングは、申請書類がほぼあらかた整っており、かつ、追加訂正を指示されたとしても十分な対応時間がある時期だ。
12月上旬でも良いかも知れないが、混まない時期に行った方が扱いもていねいだし、なにより追加が指示されたらこちらもそれなりの時間が必要になるので、まずは11月中に行けていれば安心だろう。
もっと早く、7~8月頃に相談だけ行っても対応してくれる。
事前チェックは無料!
申請書類の事前チェックはまだ、申請が正式受理される前の段階なので、申請手数料の納付は不要だ。
チェックを受けるのに支払は発生しない。
事前チェックを受けず締切前にいきなり申請に行ってはならない!
事前チェックに行かずに、申請最終日間近にいきなり初めて書類を持ち込んで申請しようとするなど、絶対にすべきでない。
それでは書類の追加訂正が指示されても、もはや期限までに整えられない可能性が高い。
最終日近くは、もう全く後がない。
こういうリスクは、しっかりヘッジしておくべきだ。