2020年10月
目次
書類の最終確認と「点数」の計算
タイ永住権の申請は、申請自体が正式受理されるかどうかが、最大のヤマ場だ。

たっぷりの申請書類!
私の永住権申請書類は、上の写真のようにかばんひとつが一杯になった。
これを全部精査するのだから、職員の方も大変だ。
永住権申請が正式受理される際には、各書類に欠落・不備・疑義がないかや、書類間相互の内容の整合性、そして申請資格自体が欠格なく満たされているかが精査される。
1回で正式受理されるのは稀
書類は特に個人申請の場合には、1回の提出でOKとなるのは稀だ。
不備が指摘されれば、その日は受理されず、出直し。
訂正や追加をして、完全書類にして再出頭する。
受理されるまで、人によっては数往復を要するかも知れない。
なので、12月末の締め切りギリギリに出そうとしないで、余裕をもって出すのが肝要だ。
私の申請は2回目で正式受理
私の場合は、2018年12月初週に正式申請のつもりで入管に出向いたのだが、不備を指摘されて不受理となり、訂正を指導された。
この委細はこちらにまとめた。
参 照:一回目の申請は不受理!
12月16日に再度出直して、2回目の申請で無事に正式受理となった。
審査は点数制!
タイの永住権審査は点数制だ。
書類+タイ語面接(10点満点)の合算で、50点を超えれば基本的に合格となる。
(但し、タイ語面接の点数も一定以上であることが必要)
点数の算出だが、申請のさまざまな基礎条件、例えば、ノン・イミグラントビザや労働許可証の連続延長年数・納税額・結婚年数・最終学歴といったことが、加点対象となる。
点数は申請受理前に算出。低すぎると不受理
点数の算出は、受理後の審査の中でするのではなく、受理前になされる。
点数計算の基準は非公開なので、自分で算出してみることは出来ないが、自分の点数は入管担当者が算出したら教えてもらえる。
そしてこの際に、合格ラインの50点に達しているか、または達していなくても、タイ語面接(10点満点)の点数も合算した時に、合格ラインに達しているという見込みが立っていなくてはならない。
たとえ申請条件をきっちり満たして、提出書類がすべて正しくても、点数を算出してみたらあまりにも低いと、合格の目はないとされて受理されない。
その場合、次年度以降の申請を促される。
点数制の詳細はこちらにまとめたので、参照されたい
参 照:必読! 永住権審査は点数制!-
基礎資格・書類・点数がOKなら正式受理!
このように、永住権申請が正式受理されるには「申請の基礎資格」「申請書類」「点数」の3つで、欠格や欠落等がなくOKとなることが必要だ。
この精査は、申請受理後に行うのではなくて、受理前の段階で細かく行われる。
だから実は、実質的な審査はもう受理前に始まっているのだ。
もし問題が見つかれば、申請自体が受理されない。
これらにすべて問題がなければ、晴れて申請正式受理となる。
受理されると、申請手数料を支払い、申請者番号と受理書類一覧書が発行される。
申請手数料の支払い
正式受理された日に、申請手数料7,600バーツを支払う。
仮に審査結果が不合格であったとしても、返還されない。
申請手数料は、書類の追加訂正等が指示されて申請が受理されない間は、まだ支払う必要はない。
申請が最終的に受理されず「門前払い」になってしまった場合も、支払いはない。
「受理書類一覧書」の交付
申請が正式受理されると、「受理書類一覧書」が交付される。
PDFで内容を紹介する。全2ページで次のようなものだ。
タイ語のみで、英語併記はない。

「受理書類一覧書」には、それぞれの提出書類が受領済みであることが明記され、追加提出する書類があれば、それも明記される。
それ以外にも、申請者の氏名・申請者番号・生年月日・申請カテゴリー・今後の日程目安等が記される。
サイン欄があって、申請者・入管担当者・証人(同行した配偶者等)が、それぞれサインする。
「受理書類一覧書」はこのような体裁なので、単なる受領書類のリストではなく、実質的な「永住権申請の受理証明」に近いものと言える。
なお、提出書類のうち納税証明書・源泉徴収書については、申請年及び申請月(12月)の納税証明は、翌年1月になってからしか取得できない。
なので、これらは必ず追加提出となり、その旨が「受理書類一覧書」に明記される。
パスポートには「永住権審査中」のスタンプ
申請が正式受理されると、パスポートには次のような「永住権審査中」のスタンプが押される。

半年の滞在許可が与えられ、永住権の審査結果が出るまで何度でも延長できる。
効力は永住権に準じており、労働許可証はそのまま保持できる。
延長はたやすく、パスポートだけ持って出頭すれば申請書を1枚書くだけで手続きできるそうだ。
但し、延長出来る場所はタイ全土でただ1カ所。
バンコク入管第1ディビジョンの、永住権担当デスクのみだ。
その他の入管では延長出来ないので、地方在住者であれば、延長のたびに平日バンコクに来なければならない。
受理後は、どちらのスタンプの効力を使うか選べる!
実は、この「永住権審査中スタンプ」が押される際には、「今後の滞在をこのスタンプの効力に移行する」か、それとも「これまでのノン・イミグラントビザの効力に留まる」かを、自分で選択することが出来る。
「永住権審査中スタンプ」の効力に移行する
「永住権審査中スタンプ」の効力に移行すると、その時点で、これまでのノン・イミグラントビザは失効し消滅する。
その後は、スタンプに押された半年後の期限日までに、延長を繰り返して行く。
延長手続きが出来るのは上述の通り、バンコク入管の永住権デスクだけだ。地方入管では出来ない。
この際、消滅した旧ビザに紐づいた「再入国許可」(リエントリー・パーミット)があれば、同時に無効となる。
今後の出入国のためには、「永住権審査中スタンプ」に紐づいた新しい再入国許可を、取得し直さなければならない。
この再入国許可の有効期間は、最大半年となる。
従前のノン・イミグラントビザの効力に留まる
従前のノン・イミグラントビザの効力に留まるなら、同ビザは失効せずに生き続ける。
延長は従来通り、居所を管轄する入管で、1年毎に行ってゆく。
この場合、「永住権審査中スタンプ」の方に押された半年後の期限日には特に意味はなくなり、過ぎても何もする必要はない。
ノン・イミグラントビザに紐づいた「再入国許可」があれば、こちらもそのまま効力を有し続ける。
どちらを選ぶか、はっきり伝えよう
どちらを選ぶかは、係員に明確に伝えなくてはならない。
ノン・イミグラントビザの効力に留まるのを選んだ場合、その旨を係員に伝えると、永住権審査中スタンプの下に、 อนุญาตตามสิทธิเดิม 「従前の効力のまま許可する」という意の小さなスタンプが押される。
ちっぽけなこのスタンプが肝で、押されてなければ、従前のノン・イミグラントビザは、すでに失効している。
半年ごとのバンコク入管での延長は、手続き自体はたやすいとはいえ、地方在住者に取っては行くこと自体がかなり大きな負担だ。
私の場合は、元々のノン・イミグラントビザの効力に留まる方を選択した。
「永住権審査中スタンプ」には、いろいろと留意点がある。
詳しくはこちらに書いた。
追加書類の提出
永住権申請が正式受理されても、必ず追加書類の提出が発生する。
それは上述の、12月及び申請年1年間の源泉徴収証明と納税証明だ。
申請締め切りは12月末なので、この2点の取得は1月以降にならざるを得ない。
取得でき次第、追加提出する。
直接持参しても郵送してもいい。
私は担当者と事前にやり取りした上で、EMSで郵送した。
参 照:年明けに追加書類を提出
正式受理されるかどうか自体が最大のヤマ
永住権申請が、正式受理されたなら一安心だ。
タイの永住権審査は、言ってみれば「事前審査制」のようなやりかたをしている。
申請を正式受理する前の段階で、「基礎資格の確認」「申請書類の精査」「点数による精査」がなされる。
ここをクリヤした人のみが、正式受理される。
ダメとなれば、そもそも受理されず、来年以降の申請を促される。
もちろん受理後にも全項目の再精査があり、さらに治安・犯罪関係の情報との照合があるが、真っ当に生きて来た普通の人であれば、まずそこで問題になることはない。
そのため、タイ語面接を別にすれば、申請が正式受理されるかどうか自体が、永住権審査の最大のヤマだと言える。
受理まで漕ぎ着けたのであればある意味で、実質的な審査はもうほぼ済んだも同然だ。