2020年8月
最終更新 2023年9月
目次
タイ永住権の申請受付時期は、毎年閣議決定される!
タイ永住権は、通年でいつでも申請できるのではなくて、毎年の申請期間が限られている。
しかし、申請受付時期はあらかじめ固定的に、毎年いつからいつまでとは決まっていない。
毎年毎年、7~9月頃に内務省(入管を所管)が、その年の募集期間・募集人数などを内閣に諮る。
閣議決定と官報告示を経て、8~10月頃に入管が公示する。
年によっては公示の時期がもっとずれ込んで遅くなったり、逆に早くなることがある。
その年についてのみを、その年ごとに決める。
そのため、次回がいつになるかは、その年になって閣議決定と公示を待たなくては、分からない。
ただそうとは言え、実際にはほぼ前例を踏襲しているだけで、募集開始日が年ごとによく変動するのを除けば、やり方はほとんど変更されない。
(もちろん、今後もずっとそうとは言えないが)
以下は、永住権申請受付の官報告示と、タイ入管の正式なタイ語の公示文書(どちらも2019年の例)だ。
タイ語だけだが、原文を見たい人は、どうぞ。


永住権の受付時期
受付期間は、最終日が12月の最終業務日(=最後の平日)まで。
これは、毎年変わらない。
一方、受付開始日は、年によってかなり変動する。
注意が必要だ。
最近9年間の例だと、次のようになっている。
年 | 受付開始日 | 最終日 | 受付期間 |
2015 | 11月25日 | 12月末 | 1カ月超 |
2016 | 9月1日 | 12月末 | 4カ月 |
2017 | 12月中旬(日付不明) | 12月末 | 約2週間 |
2018 | 9月19日 | 12月末 | 約3カ月半 |
2019 | 7月1日 | 12月末 | 6カ月 |
2020 | 10月1日 | 12月末 | 3カ月 |
2021 | 11月22日 | 12月末 | 1カ月超 |
2022 | 10月17日 | 12月末 | 約2か月半 |
2023 | 10月16日 | 12月末 | 約2か月半 |
上の表の日付は、2017年については入管担当者の説明から、それ以外の年は入管の公示文書からわたしが確認したものだ。
自画自賛で恐縮だが、毎年の状況を1次情報ソースに確認の上でこうして実証的に示しているのは、本サイトぐらいだと思う。
上の表からは、受付期間が年により大きく変動してる様が見て取れる。
私が申請した2018年は、9月下旬から受付開始され、12月末まで約3カ月超の受付期間があった。
一方、その前年の2017年は、12月中旬から開始だった。この年の受付期間はたった2週間しかなかったわけだ。
さらに2019年は、なんと7月1日から開始で、受付期間は実に6か月もあった!
このように、年により受付開始日と受付期間の長短はかなり変動する。
が、ほぼ9月以降のいつかから始まり、12月末で終了と思っていれば、間違うことはない。
(2017年のような7月開始の事例もあるが、7~8月からの開始は稀だ)
なのでこれを念頭に、申請準備を進めることになる。
毎年の受付日程は、閣議決定がなされた後に、大体8~10月頃に入管のサイト上で公示されるので、要チェックだ。
上述のように、年によっては公示の時期がもっとずれ込んだり、逆に早くなることがある。
毎年の受付時期は、固定的には決まってはいないのに注意!
しかし、上のような事実がはっきりとあるにも関わらず、タイ永住権を不正確に紹介しているものには、「タイ永住権の申請は12月のみ」だとか、「受付は2週間だけ」のように、まるで毎年の受付時期や期間があらかじめ固定的に定まっているかのような記載をしているものが少なくない。
今後の申請を考える人が誤解しないように指摘しておくが、それは正しくない。
上に記したように、毎年の受付時期はその年の閣議決定を経て、その年の分のみが公示される。
そして実際の受付時期は、毎年同じ期間ということはない。
上で挙げた過去9年間の実例から分かるように、受付開始時期にはかなりの変動がある。
しかし、12月末で終了するのは毎年同じだ。
なので、自分が実際に申請する年になったら、8月以降、入管の公示を頻繁に確認したり、入管の永住権担当デスクに一度ならず直接問い合わせたりして、状況をよく把握するのが大事だ。
受付期間前でも永住権デスクは開いている
永住権の受付期間前でも、バンコクの入管の永住権担当デスク自体は1年中開いている。
永住者への業務対応全般(居住許可書の再発行や裏書きの発行など)があるからだ。
なので、永住権申請上の問い合わせをしたければ、受付前でも直接訪問したり電話で問い合わせることが出来る。
入管でも永住権担当ではない部署では正しい情報はほとんど分からない。問い合わせは必ず、バンコク入管の永住権担当デスクに直接するのが重要だ。
ノン・イミグラントビザの延長だとか再入国許可の申請の際に、そういった窓口でついでに永住権の情報を尋ねようとするなど、してはならない。
彼らが誤った情報を伝えたからと言って責任を取ってくれることなどない。
永住権の発給人数
毎年の発給人数は、各国籍毎に100人以内。無国籍者から50人以内。
誤解している人が時々いるが、全国籍者を合わせて100人ではなく、各国籍ごとに100人だ。
全国籍者を合わせた毎年の総発給数の上限には、特に定めはない。
また、無国籍者の枠もあることは、ほとんど知られていない。
この100人以内・50人以内という人数だが、法律で明示的に定められているので、年ごとに変化することはない。
永住権発給の根拠法である「1979年タイ入国者法」40条が、こう定めている。
「大臣(=内務大臣)は、毎年の募集人数を、閣議決定を経て定め、官報に告示する。但し、人数は国籍毎に100人以内、無国籍者から50人以内とする」
ここから理論的には、毎年の募集人数はこの上限未満ならば、例えば70人・20人などとより少なく指定して告示するのも、あり得ることになる。
しかし、実際の運用ではそんなことはせずに長年、法定上限いっぱいの100人・50人で毎年告示されている。
人数枠は今後増えるのか?
今後、毎年各国100人という人数上限が、変更されて増えることがあるのだろうか?
根拠法に「各国100人以内」と明示されてしまっているのが、ポイントだ。
これが意味するのは、上限を増やすには省令や通達の変更ではなく、「法改正」が必要になる。
それは大変な作業だ。
タイ政府の永住権政策自体が大きく見直され、法改正が必要だという流れにならない限り、今後とも人数上限はそう簡単には変更されないだろう。
日本人の申請者数
私が2018年に申請した際に、永住権デスクに、例年の日本人申請者数を尋ねた。
よく言われている通りで、2~30人程度とのことだった。
なお、これは申請受理に至った数だそうだ。不備で不受理になる日本人もそれなりにいるのかも知れない。
ここから、日本人は例年、100人の人数枠の1/5~1/3ぐらいしか正式受理がないということが分かる。
これは同時に、人数枠を巡る「日本人同士の競争」は、全く発生する状況にないことを意味している。
100人枠を超える国は、実際にはほとんどないらしい
入管によれば、実際のところ、100人枠を超えるほど申請受理がある国は、ほとんどないと言うことだ。
例外は中国人とインド人で、毎年のように100人枠をオーバーするそうだ。
ここから分かるのは、タイ永住権は「国籍ごとに100人枠があるから狭き門だ」というような言い方をする人もいるが、実態から言うと全くそんなことはない。
中国人とインド人を除けば、日本人を含むほとんどの国籍者について、人数枠が「狭き門」になっている現状はないのだ。
特に日本人には、人数枠的にはむしろ、まだまだ「ガラガラの広き門」と言って良い。
申請は先着順ではない
これも誤解している人がいるが、各国100人の枠は、先着100人という意味ではなくて、審査の結果、永住権が発給される上限がこの人数だということだ。
但し、すでに100人枠を超えた受理がある国籍者に対しては、たとえ申請条件をすべて満たしていても、「点数」が低いため審査に合格するのが競争上も無理なのが明らかであれば、受理せずに翌年以降の応募を促しているそうだ。
タイ永住権審査の「点数制」については、こちらにまとめた。
参 照:必読! タイ永住権審査は点数制
永住権の申請先
タイ永住権の申請先は、バンコクの入管第1ディビジョン・永住権担当デスクだ。
居住地がタイ国内のどこであろうと、ここで申請できる。
場所は、ラックシー区の官庁合同庁舎 Government Complex B棟2階だ。
地方入管では申請も質問もしてはならない!
制度上はそのほかにも、地方在住者ならば自分の居住地を管轄する地方入管でも、永住権申請できることになっている。
しかし、実態はバンコクの永住権デスクに取り次いでいるだけだ。
それに、地方在住者であっても管轄の地方入管を義務的に通す必要はなく、バンコクの方に直接申請してよい。
だから、直接バンコクに申請してしまう方がいい。
大事な注意点だが、地方入管を通すのはリスクが多く、何もいいことがない。
なにより問題は、多岐にわたる申請条件や申請書類の委細をきちんと分かって説明・指導出来る人が、地方入管にはいない。
そのため、間違ったひどい説明をされたり、書類はこれでいいと言われていたのにバンコクに送ったらダメで訂正が必要になったがもう締め切りに間に合わない、などと言った迷走が目に見えている。
なので、地方入管での申請は決して推奨しない。
あちらが間違った結果こちらが損害を被っても、責任など何一つ取ってくれない。
永住権に関する質問や確認も、地方入管では決してせずにバンコクの永住権デスクに直接するのが鉄則だ。
地方からバンコクの永住権デスクに出向くには、時間も経費もかかるが、これは永住権のために必要な最低経費として割り切りが必要だ。
これは決してケチってはならない。
不明点があるのに経費をケチってバンコクの永住権デスクに確認するのを怠れば、そのマイナスは必ず自分の身に降りかかって来る。
タイ大使館・総領事館では永住権申請はできない
なお、タイ永住権は国外のタイ大使館・総領事館では申請出来ない。
大使館でも申請できると紹介しているものもあるようだが、それはひどい誤りだ。
このようなことで、タイ永住権の申請先は制度上はともかく実態として、バンコクの入管第1ディビジョン・永住権担当デスクただ1か所だけだ。
申請手数料と受領手数料
申請手数料
申請手数料は、7,600バーツ。
永住権の申請カテゴリーにかかわらず、この料金だ。
申請が正式受理された日に支払う。
不備が見つかり申請が受理されず、追加訂正を指示されたような場合や、本申請前に書類チェックだけをしてもらうような場合には、まだ支払う必要はない。
申請が最終的に受け付けられず、不受理になってしまった場合にも、支払いはない。
正式受理後は、審査の結果不合格だった場合にも、返金はない。
受領手数料
受領手数料とは、審査に合格して実際に永住権を受領する際に支払うものだ。
なので、申請時点ではまだ支払う必要はない。
受領手数料には永住権の申請カテゴリーにより、料金が2通りある。
95,700バーツ
申請カテゴリー
「タイ人の扶養者・被扶養者」(←タイ人との結婚はここになる)
「タイ永住権を保持する外国人の扶養者・被扶養者」
「タイ人の子」
「元永住権保持者の再申請」
191,400バーツ
申請カテゴリー
「上記以外」
支払いは当然だが、受領時に現金一括で支払う。
持ち運びには気をつけたい。
永住権申請の情報ソース
永住権申請情報の基本はすべて、入管本体の情報だ。
リンクを挙げて置く。
https://www.immigration.go.th/
他に、入管でも地方入管の独自サイトでは、入管本体のサイトには掲載されていない情報が出ていることもある。
細かく追究したい人は、こういうところを見てみてもいい。
永住権の情報収集は、何より1次ソースから!
あえて付け加えておくが、タイ永住権を申請するなら、1次情報ソースを自分できちんと読み込むことが、なにより大切だ。
もしもそれをせずに、このサイトを含めて、第三者がウェブに紹介しているような情報をただそのまま鵜吞みにするような姿勢を取るとすれば、間違いなく事故のもとだ。
申請条件は今後変更になるかもしれない。
だから、本サイトに記載したことはあくまで参考情報に留め、実際に申請するには必ず、入管が発表した募集要領を直接確認して頂きたい。
タイ永住権の申請条件を定めるのは、もっぱらタイ入管だ。
本サイトの記載は正確を期してはいるが、あくまでも第三者が勝手にまとめた参考情報であって、それ以上のものではない。それに、私の時から時間が経てばいろいろな運用も当然に変わるだろう。
決してここの情報だけに依存するようなことがあってはならない。そんなことは事故の元だ。
繰り返すが、本サイトはあくまでも第三者が勝手にまとめた参考情報に過ぎない。
最新情報を、入管が発表する1次ソースからあなた自身が直接確認して把握することが、何より重要だ。