2021年1月
目次
注意! 誰の住居登録証(タビアンバーン)に入るのか、事前に準備を!!
永住権を取ったら、誰の住居登録証(タビアンバーン)に入るのか?
永住権を取得すると、居住地を管轄する郡役所・区役所・市役所(一部)のいずれかで、「住居登録証」(タビアンバーン)へ、名前を登録しなければならない。
登録する「住居登録証」は、非永住外国人向けの黄色の「トーロー13」ではなく、タイ人と同じ紺色の「トーロー14」(ท.ร.14)の方だ。
永住者になると、紺色の住居登録証「トーロー14」に名前を登録する
この登録には、タイの永住権を取得する上での、「地雷」ともいえる問題が潜んでいる。
それは、「誰の住居登録証に入るのか」だ。
重要な点なので、注意して読んで欲しい。
自分自身か配偶者の住居登録証に入るなら、話は早い
外国人が自分名義で保有できるタイの不動産は通常、永住者・一時滞在者の別なく、コンドミニアムだけだ。
土地は保有できない。
(但し、あまり知られていないが例外もある。相続した場合、または4000万バーツ以上の投資者の場合には、居住用の土地建物を1ライまで保有できる。)
永住者が住居登録証に登録するには、もしも自分でコンドミニアムを保有していれば、自分が「世帯主」で登録された紺色のトーロー14 を、新規発行することが出来る。
自分が自分の住居登録証に入る訳だ。
これは、話が早い。
何の問題も起こりようがない。
それ以外の場合には、タイ人の誰かが保有する家やコンドミニアムの住居登録証に、自分の名前を、「同居者」として「追記」することになる。
これをするには当然だが、家主の同意が必要だ。
もちろん、家主が自分のタイ人配偶者ならば、実質は自分の持ち家と同じこと。
そこに追記するなら、これも話は早い。
私のケースもこれだったので、家主の同意という点で問題になることはなかった。
問題は借家の場合
しかし、自分も配偶者も持ち家でない場合には、ややこしくなってくる。
つまり、借家の場合だ。
借家の場合、家主が追記に同意して、実際の手続きの場にも来て協力してくれなければならない。
それだけでなく、登録した後にも、永住者がいろいろな局面で住居登録証を実際に使う際には、冊子を心よく貸してもらわねばならない。
これには、どの家主も応じるとは限らないのである。
なので、借家であれば、そもそも永住権を申請しようとする段階から、最終的に誰の住居登録証に自分の名前を登録するのか、綿密な計画と合意が必要だ。
タイ人にとっても住居登録証(タビアンバーン)とは?
タイ人に取って、住居登録証とは何なのだろうか?
住居登録証の制度とは、建物登記された物理的な「家」(戸建て・タウンハウス・コンドミニアム)を単位に、そこに住まう者を登録する形の住民登録だ。
なので、同居者としての追記に、家主と血縁関係や婚姻関係がある必要はない。
家主が同意すれば、誰であれ登録は可能だ。
しかしそうとはいえ、それはあくまで制度上のこと。
そもそもタイ人は、家やアパートを借りても、どうしても理由があって必要でなければ、あえて住居登録証上の転入手続きなどしない。
だから、家主が賃貸人に住居登録証への登録を求められること自体が、一般的ではないのだ。
借家の家主が、賃貸人を自分の物件の住居登録証に入れるかは、タイ人同士であっても、させるかどうかは家主の考えによる。
嫌なら断られる。
では、借家のタイ人には住居登録証がないのかというと、そうではなく、実家のものを使っている。
こうして登録上の住所と現住所が一致しないことは、タイでは至って普通だ。
家主の住居登録証に入れてもらうなら、いきなり言わずに十分な交渉を
このように、家主に取っては、タイ人の賃貸人が自分の物件の住居登録証に入るのですら、そう一般的なことではない。
まして相手が外国人だったら。。。
それなので、外国人がいきなり家主に、「永住権を取ったからあなたの家の住居登録証に入れてくれ」と言ったところで、十中八九断られるだろう。
仮に、軽く「いいよ」と言ってもらえたとしても、タイ人の転入の記載なら窓口で10分で済むので、それと同じに考えている可能性が高い。
永住者の登録には、家主(世帯主)の出頭が2度必要になり、調書を取られ、時間も何時間も拘束される。
こんな厄介な手続きだったと分かった時点で、「こんな大変なことだとは思いもしなかった」「分かっていればOKしなかった」「2回目はもう行かないよ」などと言われて、こじれるかもしれない。
家主が近隣に住んでおらず、他の県や地方から来てもらうようなことになれば、さらに大変だ。
住居登録証に登録できなければ、永住権受領は完了しない・・・
この点を軽く考えて永住権手続きを進めてしまうと、大変だ。
たとえ審査に通っても、いざ永住権を受領して登録する最後の段階で、入れる住居登録証がなくなってしまうかも知れないのだ。
借家の場合、家主の了解と協力がなければ、これが完了できないのだから。
永住権の審査にも無事通ったのに、最後の住居登録証の段階で、突如こんな問題に直面するとしたら、まさに「地雷」だ。
とにかく借家の場合には、あらかじめ家主によく相談する他、配偶者がタイ人ならば、義理の両親や兄弟の持ち家に入れてもらえるよう協力を願うなども含めて、事前に十分に備えるべきかと思う。
職場の宿舎に住んでいる場合
職場が保有する宿舎に住んでいる場合もあるだろう。
普通、会社であっても政府系であっても、宿舎の建物が役所に住居建物登録してあれば、住居登録証がある。
ここに追記してもらうことが出来る。
但し、制度上出来るからと言ってこんなことをいきなり職場に伝えても、驚かれるだけだと思うので、事前によく相談しておくのが重要だ。
家主として職場側のどのような立場の人間が役所に出頭すればよいのかも、役所に事前によく確認した方が良い。
さらにややこしいのは、宿舎を職場が自ら保有しておらず、一括借り上げにしているような場合だ。
家主は別にいるので、この了解と協力が必要になる。
該当する場合には、とにかく頑張って、解決の道を見出してほしい。