2024年1月
目次
居住証明書 Certificate of Residenceとは何か?
タイ永住権の受領手続きでは、次の3段階の手続きを終えることが求められる。
1.バンコク入管で、居住証明書の受領
↓
2.居住地を管轄の警察署で、外国人身分証明書の受領
↓
3.居住地を管轄の郡役所/区役所で、紺色のタイ人用住居登録証へ名前を追記
(同時に8-から始まるタイID番号を付与)
永住権審査に合格すると、バンコク入管ディビジョン1の永住権担当デスクで、永住権の受領手続きがある。
この手続きが済むと受領するのが、永住権を証する冊子「居住証明書」(Certificate of Residence ใบสำคัญถิ่นที่อยู่ )だ。
公文書コードは、トーモー16 (ตม.16)。
タイ永住権の一連の受領手続きは、上の3段階を終えて完結する。
が、狭義には、バンコクの入管での居住証明書の受領が、永住権の受領だと言える。
初回発行は紺色の冊子(トーモー16)

タイ永住権を受領すると、「ビザ」は何も発行されない。
代わって入管からこのような、冊子形式の「居住証明書」Certificate of Residence が発行される。
この冊子が、永住権を証する。
公文書コードではトーモー16 (ตม.16) だ。
「永住証明書」と呼びたいところだが、正式名称がタイ語・英語ともそうではないので、このサイトでは正式名称に合わせて「居住証明書」と呼ぶ。
サイズは、日本のパスポートより若干大きいぐらいだ。
発行の根拠は「1979年タイ入国者法」だ。
47条に、
「永住を許可された外国人は、居住証明書を受領しなければならない」
と定められている。
無期限に有効!
居住証明書には有効期限がなく、一度受領したら無期限に一生涯有効だ。
定期的な更新もない。
但し、ページ残余がなくなったり、記載事項が変更になった、損傷・紛失したといった場合には、入管で再発行を受けなければならない。
2冊目以降は白の冊子(トーモー17)
居住証明書の再発行を受けると、2冊目以降は、白い表紙の「代替居住証明書」(Duplicate of Certificate of Residence ใบแทนใบสำคัญถิ่นที่อยู่)が発行される。
公文書コードは、トーモー17 (ตม.17)。
1冊目とこちらは、名称と色が変わるが、どちらでも役割と効力には変わりはない。

参 考:めったに見ない赤茶色の冊子(トーモー15)

今現在新たに永住権を取得する人には関係しないが、公文書コードでトーモー15 (ตม.15) と呼ばれる居住証明書もある。
この冊子は、現在公布の「1979年タイ入国者法」が制定される以前から永住権を取得していた人だけに発給される。
1979年以前は、警察で「外国人身分証明書」Certificate of Alienを発給することで、永住権を付与していたようだ。
79年以前から外国人身分証明書を取得していた永住者が、入管に居住証明書を申請するとこの冊子が発給される。
現在の新規永住者であれば、まず入管で居住証明書を取得してから警察で外国人身分証明書を取得するが、79年以前からの永住者には逆になる。
この冊子の保持者でも、再発行を受けると次からは白いトーモー17となる。
このような経緯から、このトーモー15の所持者は少なく、めったに目にすることがない。
タイ出国前に必要な「裏書き」Endorsement
永住者はタイ出入国には注意が必要だ。
居住証明書は、そのままでタイ国外に出ると失効する。
居住証明書は永住権を証する冊子だ。その失効とは、永住権の失効を意味する。
失効させないためには出国前に、入管から居住証明書に「裏書き」Endorsement สลักหลัง のスタンプを受ける必要がある。このようなスタンプだ

裏書きは、発行日から1年間有効となる。その間にタイに戻れば失効しない。
要するに、「居住証明書に押す再入国許可」である。
パスポートのノンクォーター・イミグラントビザ と「対」で使う
但し、実際に出入国するためには居住証明書の「裏書き」だけではダメで、パスポートの方にも、やはり再入国許可の役割を果たす「ノンクォーター・イミグラントビザ」を取得する。
なので、実際の出入国審には、「居住証明書の裏書き」と「パスポートのノンクォーター・イミグラントビザ」の双方を出入国審査に提示して、「対」にして使う。

「裏書き」の取得は「永住権の更新」ではない
なお、永住者の中には。1年有効の「裏書き」が、「永住権冊子に押される1年のタイ滞在許可」だとか、「永住権の更新」だと誤解している人もいるようだ。
それはひどい間違いだ。
「裏書き」は実質、居住証明書に押される永住者用の再入国許可だ。
タイ国外へ出国して再入国するためだけに必要になる。
上述のように、永住権を証する「居住証明書」自体には、有効期限はなく、無期限に有効だ。更新はない。
出国せずにタイ国内に滞在し続けるなら、居住証明書を維持するためにしなくてはならないことは、特に何もない。
冊子の再発行以外には、延長・更新・定期的な入管出頭とも、みな必要ない。
「裏書き」及び、対になるパスポートの「ノンクォーター・イミグラントビザ」は、タイを出国する場合に限って必要となる。
出国しないのであれば、「裏書き」も「ノンクォーター・イミグラントビザ」も、取得は不要だ。
タイ出入国時には必ず居住証明書を提示する
永住者はパスポートだけではタイを出入国出来ない!
このように、永住権を取得するとパスポートのみではタイを出入国することはできない。
タイの出入国審査には、パスポートと一緒に居住証明書も提示せねばならない。
この際には事前に、パスポートには有効な「ノンクォーター・イミグラントビザ」 が、居住証明書には「裏書き」(Endorsement)が、それぞれ押印されていなくてはならない。
これが、「対」で使うということだ。
タイ入国スタンプに滞在期限が押されない
出入国審査では、パスポートと居住証明書の「双方」に、タイの出入国スタンプが押される。
居住証明書の方にも、まるでパスポートのようにスタンプが押されるのだ。
永住者の入国スタンプは、タイ人と同じように入国日のみが押印され、滞在期限は押印されない。
下は、わたしの居住証明書に押された出入国スタンプ(右のページ)の例だ。
左のページには、「裏書き」Endorsmentが押印されている。

ページがなくなったら再発行
居住証明書自体は、無期限に有効で定期的な更新はないことは、何度も述べた。
しかし、冊子にはこのようにスタンプが押されてゆくので、出入国を繰り返していると、ページ残余がなくなる。
スタンプを押せる部分は割と少なく、15ページしかない。
一回「裏書き」を押印すると丸1ページを消費する。
出入国スタンプは、押せても最大1ページに3~4往復だ。
仮にページ残余がなくなっても、そのままタイ国内にいる限りは有効だ。
当面の出国予定がないのであれば、そのままでも良い。
しかし、再度出入国するには、もう「裏書き」や出入国スタンプを押す余白がないため、冊子を再発行せねばならない。
再発行は、バンコクの入管ディビジョン1の永住権担当デスクが取り扱う。
4~5日要するそうだ。
申請と受領で2回出向かなくてはならない。
そのほか、地方の入管で再発行を申請し、バンコクに取り次いでもらうことも出来るそうだ。
この場合は1か月ぐらいの時間がかかるとのことだ。
どのぐらいでページがなくなって再発行になるのかは、もっぱら出国頻度に依るので、なんとも言えない。
しょっちゅう出入りする人なら、2年ももたないかも知れない。
出国は2~3年に一度の日本里帰りだけだという人なら、同じ冊子を30年は使えるだろう。
「自動化ゲート」を通れば出入国スタンプの押印なし
追 記(2024年1月):永住者の「自動化ゲート」利用登録は、現在中止されている。
永住者には、利用者登録が別途必要になるが、バンコクの2空港(スワンナプームとドンムアン)の出入国審査で運用されている「自動化ゲート」が利用可能だ。
「自動化ゲート」を使えば、出入国スタンプは押印なしになる。
両空港をベースに出入国するなら、「自動化ゲート」を通ることで出入国頻度が多くてもページ消費速度が遅くなるので、「居住証明書」の「冊子の寿命」をかなりの程度延長することが可能になる。
「自動化ゲート」については、次にまとめた。
参 照:出入国審査 自動化ゲートの登録
居住証明書にパスポート番号は記入されない!
この居住証明書だが、パスポート番号は記入されない。
そのため、パスポートの有効期限が切れて新しくなっても、新パスポート番号をこの冊子に追記する必要はない。
パスポートと居住証明書は連動しない!
そう、ビザであれば滞在期限はパスポートの有効期限の範囲内でしか貰えず、新パスポートに切り替わったらビザのスタンプを移さねばならなかった。
つまり、ビザとパスポートは完全に連動していた。
しかし、永住権を取るとタイ国内にいる限り、永住権を証するこの居住証明書とパスポートは切り離されて、もはや連動しないのだ。
パスポートが切れてもタイの不法滞在ではない!
そして、永住権とパスポートが切り離されるということは、たとえパスポートが切れても永住権には影響しない。
なので、居住証明書と、警察署で受領するもう一つの冊子「外国人身分証明書」の双方が有効であれば、タイ国内にいる限り、パスポートが切れたままでも不法滞在ではない。
(但し、5年毎の外国人身分証明書の延長手続きには、有効なパスポートの提示が必要)
実際、無国籍者やさまざまな理由でパスポート発給が拒否されている人も、居住証明書と外国人身分証明書を受領していれば、タイの合法な永住者である。
だから、だからである。
今後もしも、も~しも何らかの理由で、日本外務省から旅券返納命令を喰らってしまい、パスポートの更新が出来なくなってしまったとしても、それでも合法にタイに滞在し続けることが出来る。
さらにその場合には、本国から旅券発行を拒否された永住者として、タイ外務省にタイのトラベル・ドキュメントを申請することができることになっている。
もちろん、そんなことが必要な羽目にはなりたくはないが、タイの永住権を得るということの一面は、こういうことなのである。
居住許可証には何が書いてある?
では、居住許可証には何が書いてあるのだろうか?
ほとんどお目に掛かることのない中身を、紹介しよう。
表記はタイ語のみで、ほとんどすべて手書きだ。
記載事項はぼかすか消したが、項目の日本語訳を入れてある。
画像はクリックで拡大できる。
1ページ目 本人の写真・指紋・署名

本人の写真・指紋・署名
2-3ページ目 本人の情報(氏名・住所等)

本人の情報(氏名・住所等)
4-5ページ目 許可内容の詳細

許可内容の詳細(発行日・許可印・冊子番号・許可番号等)
6-20ページ目 スタンプ押印欄

出国する際の「裏書き」(Endorsement สลักหลัง)のスタンプ・タイ出入国スタンプの押印欄。このページは全15ページある。
21ページ目 注意書き

注意書きには、こう書いてある。
-
-
- この冊子は国外に出ると失効するので、出国前に前もって「裏書き」を受けること。
そうすれば裏書き発行日から1年以内にタイに戻れば失効しない。 - この冊子の受領日から7日以内に所管の警察署で、外国人身分証明書を受け取ること。そうでない場合には罰金に処せられる。
- この冊子は国外に出ると失効するので、出国前に前もって「裏書き」を受けること。
-
「この冊子の保持者は永住権者だ」ぐらいは書いておいて欲しい!
入管から受領するこの「居住証明書」Certificate of Residence が、永住権を証することは繰り返し何度も述べた。
ところがである。
永住者としてとても気になることだが、それにもかかわらず居住証明書には「そもそもこの冊子がなんなのか」「この冊子にどのような効力があるのか」という説明書きが、どこにもない。
つまり、「この冊子の保持者はタイの永住者である」というような、「永住権保持を明示的に示す文言」が、どこにもないのだ
これは、極めて不思議だ。
居住証明書のタイ語名称である「バイサムカン・ティンティーユー」ใบสำคัญถิ่นที่อยู่は、一般タイ語としては、「バイサムカン」が「証明書」、「ティンティーユー」は「居所」「住所」という意味だ。
もちろんここでは、ティンティーユーをもって「パーマネントな永住居所」を意味しているわけだが、それは入管の行政用語だ。
だから、タイ人であってもこの方面の前提知識がなければ、そんなことは分からない。
一般タイ人が、バイサムカン・ティンティーユーを文字面だけ読んでも、単に「住所の証明書」のように思われかねないし、「で、これはどんな効力があるの?」ということになる。
さらには、永住権を証するはずのこの居住証明書にさえ、「この冊子の保持者はタイの永住者である」と明示的に書かれていないということは、永住者が保持するそのほかの証明書にも「この保持者はタイの永住者である」と直截に明記されたものは何もない、ということでもある。
例を挙げれば、永住者が警察から受領する「外国人身分証明書」Certificate of Alien も、郡役所等から受領する「非タイ国籍者用IDカード」もそうで、「この保持者はタイの永住者である」という文言はどこにもない。
このようにタイの永住者には、アメリカのグリーンカードのような、「永住者の身分が一目瞭然な証明書」が何ひとつないのだ。
そんな「居住証明書」を見せてあえて永住者であることを説明しようとすると、「この冊子は永住者にしか発給されない公文書なんです。だから、これを持っているということは、私は永住者なんです」という、奇妙な物言いをするしかない。
「居住証明書」Certificate of Residenceは、永住権を証する根本の冊子であるはずだ。
ならば、「この冊子の保持者はタイの永住権者である」ぐらいの文言は、しっかりと明示的に書いておいて欲しいものだと、つくづく感じる・・・