2021年2月
目次
タイ永住権の維持経費
タイ永住権を取得して永住者となったら、当然だが、永住権を失効させずに確実に維持して行かねばならない。
永住権の維持には、タダというわけにはいかず、それなりに経費が発生する。
では、タイ永住権を維持するための経費は、何にどのぐらいかかるのだろうか?
以下に、細かく見て行こう。
タイから全く出ないのならば格安
タイ永住権の維持経費は、タイ国外に全く出ないのであれば、次のようになる。
まず、入管が発行し永住権を証する冊子「居住証明書」Certificate of Residence は、一生涯有効で延長や更新はない。
タイ国外に全く出ないのであれば、何の手続きも必要ない。だから維持費用も発生しない。
「住居登録証」(タビアンバーン)については「失効」という概念はないので、維持費用もない。
たとえ紛失したとしても、再発行手数料はたった20バーツだ。
最寄りの郡役所などで再発行出来るので、遠出の必要もない。
一方、警察署が永住者に対して発行する「外国人身分証明書」だけは、5年に1度の延長が必要だ。
延長手数料は、800バーツ。
この延長手続きと経費だけは、5年に1度必ず発生する。
延長手続き自体は住所を管轄の警察署で簡単に出来るので、遠出にはならない。
交通費が発生したとしても無視できる少額だろう。
ここから、もしも「タイ国外に全く出ることなく過ごす」のであれば、かかるタイ永住権の維持経費は、
「5年に1度の800バーツだけ」
となる。
これは、極めて格安と言える。
タイ国外に出るなら、経費はその人次第
一方、タイ国外に出るならば、事前に入管で、永住権を失効させずに再入国するためのスタンプを取得せねばならず、この取得経費が発生する。
実際に発生する金額は、どのぐらいの頻度で出国するかで、人によって状況がかなり変わって来る。
永住者のタイ出入国はパスポートだけでは出来ず、「パスポート」と、永住権を証する「居住証明書」の双方に、「永住者の再入国許可」の役割を果たすスタンプの取得が必要だ。

この二つのスタンプ、すなわち居住証明書の「裏書き」とパスポートの「ノンクォーター・イミグラントビザ」の取得費用は、次の通りだ。
居住証明書の「裏書き」(1年有効) | マルチのみ | 1,900バーツ |
パスポートの「ノンクォーター・イミグラントビザ」(裏書きの期限まで有効) | シングル | 1,900バーツ |
マルチ | 3,800バーツ |
さらに、永住権を証する「居住証明書」にはタイ出入国スタンプが押印されるので、押印欄(15ページ)の残余がなくなれば、再発行が必要になる。
「居住証明書の再発行」 | 1,900バーツ | 所要4~5日 |
「居住証明書の再発行」はタイ全土でバンコク入管の永住権デスク1か所のみが取扱い、即日では発行されないので、遠方からならバンコクまでの旅費・宿泊費等が別途発生する。
(発行に時間を要してもいいなら、地方入管で申請してバンコク入管に取り次いでもらうこともできる)
ケース1:タイ出国は2~3年に1度の日本里帰りだけなら・・
もしも、タイ出国は2~3年に1度の日本里帰りだけなら、出国する年に限って、次が発生する。
居住証明書の「裏書き」(マルチのみ) | 1,900バーツ |
パスポートの「ノンクォーター・イミグラントビザ」(シングル) | 1,900バーツ |
合 計 | 3,800バーツ |
このように、タイを出国する年に限って、3,800バーツが発生する。
当然だが、タイを出国しない年には上の取得は必要ないので、費用も発生しない。
このぐらいのタイ出国頻度だと、「居住証明書」の出入国スタンプ押印欄のページ残余はまずなくならない。
きっと、同じ「居住証明書」の冊子を再発行することなく30年は使い続けられるだろう。
従って、冊子の再発行手数料もその間は発生しない。
ケース2:再入国の効力を常に切れ目なく維持すれば・・
しょっちゅうタイから出国するので、再入国の効力を常に切れ目なく維持しようとすれば、毎年決まった時期にスタンプ(1年有効)の再取得が必要になり、次が毎年発生する。
居住証明書の「裏書き」(マルチのみ) | 1,900バーツ |
パスポートの「ノンクォーター・イミグラントビザ」(マルチ) | 3,800バーツ |
合 計 | 5,700バーツ |
スタンプの効力は「裏書き」が1年、ノンクォーター・イミグラントビザは裏書きの期限まで(裏書きと同時取得すれば最長1年)なので、効力を常に維持するためには上を、毎年決まった時期(切れた時期)にずっと再取得を繰り返して行くことになる。
そのために、毎年5,700バーツが発生する。
さらに、頻繁に出入国すると居住証明書のページ残余がなくなって「居住証明書の再発行」が発生する。
(どのぐらいで再発行になるかは、出入国の頻度次第)
そのたびに再発行手数料 1,900バーツ。
遠方ならばプラスして、バンコク入管までの旅費・宿泊費。
時間がかかるそうだがそれでも良いなら、再発行は地方入管で申請・受領することもできる。
この場合、地方入管がバンコク入管に取りつぐ形になる。
永住者のタイ出国経費は非永住者の「再入国許可」よりも割高
上から気づくと思うが、永住者のタイ出国経費は、ノン・イミグラントビザの非永住者ならば「再入国許可」(リエントリー・パーミット)ひとつで済むのと比べて、割高だ。
比較してみよう。
◆非永住者の場合
パスポートの「再入国許可」(リエントリー・パーミット)
「再入国許可」 (リエントリー・パーミット) |
シングル | マルチ |
1,000バーツ | 3,800バーツ |
◆永住者の場合
パスポートの 「ノンクォーター・イミグラントビザ」 |
シングル | マルチ |
1,900バーツ | 3,800バーツ | |
居住証明書の「裏書き」(マルチのみ) | 1,900バーツ | |
合 計 | 3,800バーツ | 5,700バーツ |
このように永住者の方が、非永住者の「再入国許可」より割高だ。
そうではあるのだが、これを高いと思うか安いと思うかは、人それぞれだろう。
出国1回のためだけだと割高感が・・・
言えるのは、1回きりで考えると割高感がある。
「ちょっとメーサイからミャンマー側タチレクに日帰りして来よう」といった場合に、この年の出国はそのたった1回きりだったりすれば、それだけのために3,800バーツ(裏書き+ノンクォーター・イミグラントビザのシングル)を支払うことになる。
だったら、家族だけ行かせて自分はタイ側で待っている方が良い、と思うかも知れない。
再入国の効力を常に維持すれば毎年5,700バーツ
いつ出国になってもいいように、常に再入国の効力を維持して置こうと思えば、毎年 5,700バーツを支払う。
(裏書き+ノンクォーター・イミグラントビザのマルチ)
マルチの「再入国許可」(3,800バーツ)との差額は、1,900バーツだ。
私個人としては、このぐらいの差は無視できる範囲で、どうでもいいと思っている。
「居住証明書の再発行」は時間と経費がかかって負担
ただ、出入国スタンプが増えて「居住証明書の再発行」が絡むと、単に再発行手数料(1,900バーツ)ばかりでなく、バンコク入管に申請・受領で2往復する時間と手間が発生する。
再発行は1日では済まず、4~5日かかるそうだ。
これが頻繁に発生するとなればかなりの負担となるし、地方からだとさらに負担だ。
かなり時間がかかってしまうそうだが、それでも良いなら、再発行は居住先を管轄の地方入管で申請・受領することもできる。
この場合、地方入管がバンコク入管に取りつぐ形になる。
「タイ永住権維持の上での一番の負担」は、この「居住証明書の再発行」が頻回となった場合と言えるかも知れない。
手数料は変更される可能性も
入管の各種手数料の実額は、通達で定められている。
実額はこれまでに何度も改定され、値上げされて来た。
そのため、上に挙げた金額が今後改定される可能性は常にある。
今の金額だけで十分に高額なので、大きく値上げされないことを祈りたい。
出入国経費は割り切るしかない・・・
永住権を取ったら出入国の経費が非永住者より高くなるとは、どうも何かが逆転しているように思えるが、そうは言っても仕方がない。
永住者の出入国については、こういう仕組みになっているということを分かった上で、これも永住権の維持経費と思って、割り切るしかない。
なにより、そのほかの点については、タイの永住権維持はきわめてたやすいのだから。
ただ、もしも今後この手数料額が今以上に値上げされるとすれば、割高感は否めない。
上にも述べた通り、大きく値上げされないことを祈りたい。